『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる』から学ぶ家庭教育④~感情的な叱り方をやめる

『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』(河村京子 著/大和出版)をもとに,将来活躍できる子どもに育てるための効果的な声かけや接し方を学びます。

わが子が東大・京大に現役合格!  子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。

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子どもが自分で考え行動できるような叱り方をしよう

子どもが何かできないとき,「ダメ!」「どうしてできないの!?」など,つい感情的に怒ってしまう親が多いのではないでしょうか。

好きで失敗したり,親に怒られようとしたりする子どもはいません。それなのに,感情的な言葉をかけられると,問題が解決しないばかりか,子どもは次第に心を閉ざしてしまうでしょう。

親が次から叱らなくてもいいように,子どもが自分で考え行動できるような叱り方を心がけましょう。『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる』では,「感情の言葉」を「理性の言葉」へと言い換える方法が紹介されています。

「感情の言葉」→「理性の言葉」へ言い換えよう

  • 「早くしなさい!」→「いつするの?」

「いつするの?」

そうすると、子どもは段取りを考え始めます。

そして、いつするかを自分で決めるようになるでしょう。

親子で話し合って,一日の流れを予め決めておくのも効果的です。

  • 「どうしてできないの!」→「この問題が難しかったね。次は、きっとできるよ」

「どこがよくなかったかな?」「次はこうすればいいね!」と具体的な原因と対策を子どもに話しましょう。そうすれば「自分はできない子だ」と落ち込むことなく,「次からこうしよう!」と勉強にも前向きに取り組むことができるでしょう。

  • 「ダメ!」→「壁に落書きをしてはダメよ」

何がダメかを具体的に子どもに伝えましょう。「壁ではなく画用紙に絵を描こうか!」など,やってよいことをセットで話すのも効果的です。

  • 「ちゃんとしなさい!」→「お人形は棚の上に座らせてあげて、積木は積木の箱に入れて、クレヨンは2番目の引き出しの手前の箱に入れてね」

「ちゃんと」という言葉では,子どもが何をすればいいか伝わりません。「どうすればいいか」を具体的に話すようにしましょう。メモに書いて分かるようにしておけば,毎回親が声かけする必要がなく,子どもが自分で気づいて行動するようになるので,おすすめです。

日々の声かけを変えることで,子どもが自分で考え行動できるように導きましょう。

『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる』から学ぶ家庭教育③~ご褒美作戦を見直そう

『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』(河村京子 著/大和出版)をもとに,将来活躍できる子どもに育てるための効果的な声かけや接し方を学びます。

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子どもをご褒美で釣るには限度がある

子どもに勉強や習い事をしてほしい一心で,「これをしてくれたらゲームを買ってあげるよ」「おやつをあげるよ」とご褒美で釣る親は少なくありません。

しかし,次第に子どもから,「勉強頑張ったでしょ!だからテレビ見させてよ!」「もっと頑張ったから,今日はゲームをたくさんやってもいいでしょ!」「塾の回数を増やしてもいいから,ゲーム機買ってよ!」と要求してきたり,駆け引きのようになってしまう...…といった相談が私のもとによく持ち込まれます。

『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる』では,「ニンジンをぶらさげる方法」の効果について,次のように述べられています。

「テストで100点とったら、お小遣いアップ」などと約束すると、そのときはがんばりますが、次にはさらなるご褒美アップを要求されるでしょう。

または、子どもがムリだと思ったら、振り向きもしなくなるでしょう。

以上からわかるように、「ご褒美=モノを与える」で結果を求めることは、そのときには効果があっても、長い目で見るとマイナスになります。

[……]目先の効果だけで「ご褒美と罰」を親が使い続けると、子どもは反発するかやる気をなくすかのどちらかになってしまうことでしょう。

「モノ」ではなく「心のご褒美」を与える

子どもをモノで釣る方法には限界がありますが,「お母さんの笑顔」というご褒美はいくら使っても効果が薄れることはないと本書では述べられています。

直接的なニンジンをぶらさげなくても、お母さんが、

「がんばったね、お母さん嬉しいよ」

と笑顔で言ってあげるだけで、

「次もがんばろう!」

と子どもはやる気がわいてくるのです。

[……]もし、あなたがすでに子どもをご褒美でがんばらせる習慣をつけてしまっていたとしたら、今日からご褒美を変えましょう。

あなたの笑顔と言葉をご褒美にするのです。

最初は、子どもも「モノ」のご褒美を要求するかもしれません。

でも、すぐにお母さんの笑顔が最高のご褒美だということに気づくでしょう。

「将来のためになること=ご褒美」だと理解してもらう

子どもが何かを嫌がる場合,その目的が分かっていなかったり,納得していなかったりすることが多いです。なぜ勉強が大切なのか,どのような目的でその習い事に取り組んでいるのか,お母さんのためではなく子ども自身のための取り組みであることを理解してもらいましょう。親が子どもの将来のために投資して,幸せな人生を歩めることこそが,子どもにとって最大のご褒美ではないでしょうか。何かで子どもを釣るのではなく,その取り組みの意味や目的そのものについて,ぜひ伝えるようにしましょう。

 

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子どもに目的意識を持たせる方法

生活面や学習面で,子どもに目的意識を持たせることは,とても大切です。どうなりたいからその作業や課題に取り組んでいるのか,いつまでにどうなっているのが理想なのか,子どもに理解してもらいましょう。目的意識があるかどうかで,取り組み方や吸収率が大きく変わってくるためです。

子どもに目的意識を持ってもらうために,私の教室では,次のようなメモを用いて,授業計画や目標を共有しています。

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このような形で長期・中期計画を見える化すると,子どもは「半年後にはこうなれるんだ!」「だから今回も頑張ろう!」と自ら目的意識を持ち,一回一回の授業を集中して受講するようになります。

毎回先生から「今日はこれをやるよ」と課題を与えられる形式では,長期的な目標から逆算し,子ども自身で目的意識を持って授業を受けることは難しいかもしれません。

また,なぜその課題に取り組むのか,子ども自身に納得してもらうことも肝要です。特に子どもが嫌いなことや苦手なことについては,その取り組みの目的や必要性を理解してもらえるかどうかが,重要なポイントになります。

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まずは理由を説明して取り組んでもらう→「できる」「分かる」「楽しい」という経験を積み重ねを通じて,少しずつ苦手を克服してもらいましょう。

 日々の学習について,親が「1日2ページやりなさい」「今日はこれをやりなさい」と指示していないでしょうか。「なぜこの勉強をやらないといけないのかな?」「このドリルはいつまでに終わらせるのがいいかな?」「じゃあ1日何ページ進めるといいかな?」と子どもに目的意識を持たせる声かけを,ぜひ心がけてみてください。

『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる』から学ぶ家庭教育②~受験の目的を考える

『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』(河村京子 著/大和出版)をもとに,将来活躍できる子どもに育てるための効果的な声かけや接し方を学びます。

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受験の目的を明確にする

「何としても,子どもを~中学に合格させたいんです」「~高校に入れたいんです」と言う親は少なくありません。受験に合格させるために,塾の授業数を増やしたり,家庭教師を付けたりします。子どもが乗り気でなくても,校風やレベルが子どもに合っていなくても,「何とかして合格させたい!」と,親が必死になって子どもに勉強させます

受験合格は通過点にすぎない

受験合格はゴールではなく,通過点にすぎません。周りが必死になって子どもに勉強をさせ,仮に受験に合格したとしても,入学後が大変です。『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』著者の河村氏は,次のように述べています。

[……]合格の確率を少しでも高めるために「知識」をたくさん身につけさせようとする――。[……]

でも、私はそれ以上に、「考える力=本当の学力」を身につけさせる必要があると考えています。

その理由は、2つあります。

1つは、難関校になればなるほど、「知識」だけでは手に負えない問題、すなわち「考える力」を必要とする問題を出題する傾向があるからです。

もう1つは、仮に合格できたとしても、「考える力」がないと、入学した後で苦労する可能性が高いからです。

 私自身の中学・高校時代,これまで指導してきた生徒さんを振り返っても,「あの子は~中学の方が向いていたのに」「無理にこの高校に入ったために苦労しているなぁ」と感じることが多くありました。

子ども自身で目標を持ち,勉強することが大切

親が無理やり勉強させ,受験に合格したとしても,学校のレベルや校風が子どもに合っていなかった場合,個性や力が十分に伸ばせず,将来的に見て良い結果にはなりません

また,「この学校に入りたい!」と子ども自身で心底思うことができれば,自然と勉強するようになるはずです。そのためには,「こんな学校があるんだよ」「お母さん(お父さんは)ここが良いと思うんだけど,どうかな?」「こんな授業もあるんだって。将来の仕事にも繋がりそうだよね」など,進路について,日ごろから子どもと話し合うことが大切です。

子ども自身が「この学校に入りたい!」と目標を持ち,努力した上で,「勉強のやり方が分からない」「質問が多いからもっと教えてほしい」という場合は,塾の授業数を増やしたり,家庭教師を付けたりすることを検討するのもよいでしょう。

受験合格をゴールにするのではなく,子どもの将来を見据え,「自身で目標を持ち,達成に向け努力する」「考える力を高める」機会として,受験を捉えてほしいと思います。

 

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『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる』から学ぶ家庭教育①~「がんばれ!」ではなく「がんばり方」を伝える

『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』(河村京子 著/大和出版)をもとに,将来活躍できる子どもに育てるための効果的な声かけや接し方を学びます。

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 「がんばれ!」は子どもの自信を奪うことがある

子どもを励ますときに「がんばれ!」という声かけをする方も多いと思います。『子どもの学力は12歳までの「母親の言葉」で決まる。』著者の河村氏は,「がんばれ!」という言葉はときに子どもにプレッシャーを与えると述べています。

たとえば、子どもを応援するとき、励ますときには、

「がんばれ!」

と言いますね。

でもこの言葉、使い方によっては、子どもを追いつめることになります。

もし、あなたが精いっぱいがんばっていてもうまくいかなくて落ち込んでいるとき、

「もっとがんばれ!」

と言われたら、どんな気持ちになりますか?

私だったら、

「これ以上、どうがんばればいいの?」と泣いてしまいそうです。

 私自身,保護者の方より,次のような相談を受けたことがあります。

子どもが「パイロットになりたい」と言っていたので,実際に飛行場の見学に行って仕事の話を聞いたり,「英語もできないといけないね」など親が伝えたりしたりしたそうです。すると子どもが「やっぱりパイロットになるのやめる」「ぼくには無理だ」と言い出したのです。「親としては,応援するつもりで色々な取り組みをしたのに,子どもにとっては負担だったのだろうか」「期待をかけるのはよくないのだろうか」と悩んでしまったとのことでした。

子どもにプレッシャーを与えずに,応援するためにはどうすればいいのでしょうか。

「がんばれ!」ではなく,努力を認め,具体策を伝える

本来,周囲から期待をかけられるのは,嬉しいことのはずです。「ここまでで十分。よくがんばった」と言われるより,「あなたならできる」「もっと上を目指せる」と思われている方が,「信じてもらえているんだ!」「もっとがんばろう!」という気持ちがわいてくるでしょう。

しかし,漠然と「がんばれ!」と言われただけでは,どうがんばればいいのか分からず,本当にできるのか心配になってしまうこともあります。

プレッシャーをかけすぎずに子どもを応援するためには,次のようなポイントに気を付けてください。

  • 今,がんばっていることを認める

(例)「英会話もがんばって~年続けているもんね」

「学校のテストもよくなってきているね」

「勉強時間が増えてきているね。よくがんばっているね!」

  • 具体的に,どうがんばればいいかを伝える

(例)「このまま英会話の宿題をきちんとやれば大丈夫だよ」

「中学校に入ったら英語を習うから,そこから頑張れば十分間に合うよ」

「中学校のテストでは80点以上を目指そう。そのためには小学校のテストでも点数を取っておいた方がいいね」

 現時点での努力を評価し,「さらにこうすればいいんじゃない?」と具体的なアドバイスをすることで,子どもは難しい目標にも前向きに取り組んでいくことができるでしょう。

 

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「小・中学校の家庭学習アイデアブック」から学ぶ家庭教育④~友だち同士で意見交換する

変化が大きいこれからの社会では,単に与えられた課題がこなせたり,勉強ができたりするだけでは,食べていくことができません。したがって子供が多くの時間を過ごす家庭で,思考力や主体性を高める教育を実施していくことが大切です。効果的な家庭教育・学習について,『アクティブ・ラーニングが絶対成功する!小・中学校の家庭教育アイデアブック』をもとに考察を深めます。

アクティブ・ラーニングが絶対成功する! 小・中学校の家庭学習アイデアブック

アクティブ・ラーニングが絶対成功する! 小・中学校の家庭学習アイデアブック

  • 作者: 田中博之
  • 出版社/メーカー: 明治図書出版
  • 発売日: 2017/01/20

友人とアクティブに交流しながら学ぶ

愛知県尾張旭市立東中学校の彦田泰輔氏は,生徒同士でノートを交換し,お互いにコメントを書く学習方法を提唱しています。友人と交流しながら学ぶアクティブ・ラーニングでは,次のような効果が見られます。

  • 自分の取り組みを認めてもらえる。
  • 友だちの優れたノートのやり方に触れ,新しい家庭学習の型を手に入れることができる。
  • 友だちに見られるという相手意識をもつことで,内容が充実したり,「提出しなくては」という気持ちをもたせたりできる。

私の教室でも,生徒さん同士がアクティブに交流し学んでいます。例えば,自身がつくったロボットについて、「もっと良くしたいんだけどいいアイデアないかな?」とメモを残しておき,他の生徒さんに意見を求めます。

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するとその後,教室を訪れた生徒さんは皆,率先してアイデアを出してくれます。ロボットをつくっているお友だちに意見が伝わるよう,思い思いの方法や表現で,メモにまとめます。

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ロボット作成者である生徒さんは,皆の意見に目を通して,実際のロボットづくりに取り入れるものには✔を,今回取り入れないものには×を,自発的に付けました。双方向のコミュニケーションを意識できているなぁと,私自身とても感心しました。

ロボット作成者,アドバイスする側の生徒さんともに,大きな学びがありました。お互いに,ロボットづくりに対する新しい着想が得られ,自身のアイデアを言語化するよいトレーニングになったようです。

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普段は作文に対する苦手意識が強い生徒さんも,「何とかして思いを伝えたい!」と積極的に取り組みに参加してくださいました。「あのロボットどうなった?」「あの子なんて言ってた?」など,生徒さんご自身が興味を持って自発的に取り組むことで,苦手な読み書きの壁も乗り越えられたようです。

また「友だちが週末に来るから,この作品見せたい!」と言って,教室でつくった作品を持ち帰り,「友だちがもっとこうした方がいいんじゃないって言ってた」「もうちょっと改造してみようかな」と,次の授業で追加の取り組みを実施する生徒さんも少なくありません。

このように友だち同士の交流を通じて,能動的で大きな学びが期待できます。ぜひご家庭でも,子ども一人に学習させるだけでなく,友だち同士の交流も意識してみてください。

 

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子どもの「やり抜く力」を高める方法⑪~親が失敗を見守る強さを持つ

子どもに失敗を経験させることは,「どこが良くなかったかな?」「どうすれば上手くいくかな?」と考えるきっかけになるため,「やり抜く力」の向上に役立ちます。学習や練習方法を試行錯誤し,成果を出し続けることで,物事を「やり抜く」ことができるのです。

子どもに失敗を経験させるためには,親が失敗を見守る強さを持つことが重要です。失敗は成長の機会であるにも関わらず,子どもの失敗を防いでしまう親が少なくありません。なぜ親は子どもの失敗を防いでしまうのでしょうか。

(1)親が恥をかきたくないから,イライラするから

「子どもが失敗すると,親がきちんとしていないと思われる」「恥をかきたくない」「なかなかできない様子を見ているとイライラする」という理由から,子どもの失敗を防いでしまうケースがあります。子どもの忘れ物が多かったり,宿題が出来ていなかったりすると,親が罪悪感を覚え,イライラするかもしれません。

確かに「お母さんがチェックしてください」「ご家庭でやってください」と先生から指示されたものは,きちんとできているか,親が最終チェックをする必要があります。しかしその過程や,他のことはなるべく子どもに任せるようにしましょう。

練習や学習をする時間を決めておいて,約束通りにできるかどうか,一度子どもに任せてみてください。幼稚園や習い事の前に,親が最終チェックして,できていなければ、原因を分析して対策を立てます。このような形で取り組ませると,子どもに失敗するチャンスを与えることができます。

着替えや出かける準備なども,子どもに任せましょう。最初は上手くできず,時間がかかるかもしれませんが,失敗を繰り返すことで,「どうしたら上手くできるかな?」と子ども自身で学び,成長していきます。「子どもが失敗したら恥ずかしいから」「見ているとイライラするから」という理由で,子どもの失敗を防がないようにしましょう。

(2)うちの子にはできないと思っているから

「うちの子はできが悪いので親がやらないとダメだ」「まだ子どもだから親がやってあげないと」と考え,失敗を防いでしまう親がいます。しかし,このような考え方では,いつまでたっても子どもに物事を任せることができず,子どもは成長できないままになってしまいます。

自転車の練習を例に挙げて説明しましょう。「まだできないから」と言って,補助輪付き自転車にずっと乗っていては,なかなか補助輪なし自転車に乗れるようにはなりません。最初は上手く乗ることができなくても,補助輪なし自転車で何度も練習した方が,上達スピードは速いのです。時には転んで,けがをしながら,子どもは補助輪なし自転車の乗り方を体得していきます。

子どもは失敗を繰り返しながら学び成長します。子どもを信じて任せる,チャレンジさせることが大切です。

(3)失敗したら子どもがかわいそうだから

「失敗して落ち込んだらかわいそう」「先生に叱られるのがかわいそう」という理由で,失敗を防いでしまう親も少なくありません。

確かに,親が代わりに何でもやってあげて,失敗を防げば,子どもが落ち込んだり,先生に叱られたりせずに済みます。短期的には問題が発生せず,生活がスムーズにいくので,快適に感じるかもしれません。

しかし子どもに失敗を経験させないことは,長期的に見ると,大きな問題をはらんでいます。失敗させたくないあまり,親が何でもやってあげると,次第に子どもは自分で考えて行動することができなくなります。他人にやってもらうのが当たり前になり,「どこが上手くいっていないんだろう?」「次からどうすればいいんだろう?」と自分で考えられなくなるのです。

このような指示待ち人間は,物事をやり抜き,社会で活躍することが難しいでしょう。失敗を防ぎ,子どもの成長を妨げることの方が,長期的に見て「かわいそう」なのです。

失敗して落ち込んだり,先生に叱られたりするのも貴重な経験です。子どもの落ち込みが大きいようであれば,親がフォローしましょう。「なぜ今回は上手くいかなかったかな?」「次からはどうすればいいかな?」「対策を試してみたら次は上手くいくよ!」など,失敗から学び,次に生かせるような声掛けを実施してください。

 

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