子どもをやる気にする言葉がけ⑧~自分で決めさせる

子どもに指示するのをやめる

子どもがダラダラしているのを見て,「早くやりなさい!」「まだやってないの⁉」とつい怒りたくなることもあるでしょう。しかし、子どもはそのような言葉を投げかけられると,「今からやろうと思ってたのに」「うるさいなぁ」と意地になって反発してしまうかもしれません。そして親子げんかに発展し,親子ともども嫌な思いをするといった経験をしたことがあるお父さん,お母さんも多いのではないでしょうか。

子ども自身で決めさせることが大切

「早くやりなさい!」という言葉がけを,ぜひ「いつやるの?」「どうするの?」と子ども自身で決めさせる質問に変えてみてください。「このテレビが見終わったらやる」「夕食後にやる」「明日にやる」など,子ども自身に考えさせ,約束して守ってもらいましょう。

多くの子どもは,自分で決めたことはやり遂げようとします。他人から「やりなさい!」と指示されるよりも,自分で「こうしよう!」と決めたことについては、誰しもやる気が出るものです。「よし、番組が終わったからやろう!」「夕食を食べ終わったからやろう!」「約束したからね!」と,素直に行動を起こすことができます。

子ども自身で考えて,予定を決めるということ自体,とても大切なことです。親に「早くやりなさい!」と言われなくても,子ども自身で考えて行動できるよう,ぜひ質問してきっかけを与えましょう。

自分の言動に責任を持たせる

「このテレビが見終わったらやる」「夕食後にやる」「明日にやる」と,子どもが約束したにもかかわらず,守れていない場合は,注意するようにしましょう。「さっきの約束覚えているかな?」「約束はきちんと守ろう」と,約束の重要性について伝えるようにしてください。自分の言動に責任感を持たせることは,とても大切です。

約束をきちんと守れたときには,「約束を守れたね!覚えていてくれたんだね」「お父さん、お母さんはとても嬉しいよ」と子どもをほめるようにしましょう。「お父さん,お母さんは,自分のことを見守っていてくれるんだ!」「よし,もっとがんばろう!」と子どものやる気を引き出すことができます。よくないこと,不十分な点についてはきちんと指摘しつつも,よくなったところ、努力した点については評価することを心がけると,子どもと強い信頼関係が築けるでしょう。

子ども自身で考え決めてもらうことで、自ら行動できるよう導きましょう。 

 

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子どもをやる気にする言葉がけ⑦~感情的に叱る前に問いかける

親の感情をぶつけない

子どもを叱るとき,「いい加減にしなさい!」「やめなさい!」「謝りなさい!」と感情をぶつけていないでしょうか。

子どもが危ないことをしているときなど,一刻も早く問題行動をやめさせたい場合は,たしかに厳しい声かけも必要です。しかし日常的に感情的な声かけをしていると,「また怒ってるなぁ」と子どもの心に響かなくなってしまいます。子どもを叱る前に一呼吸置いて,なるべく感情的な言葉を投げかけないようにしましょう。

子どもに問いかけて考えさせる

「今は何の時間だったかな?」「お片づけの時間だったよね」「お友だちにそんなこと言っていいのかな?」「お母さん、前にお話ししなかったかな?」――。感情的な声かけを問いかけや確認の言葉に変えるだけでも,子どもを叱る回数がぐんと減ります。そして,このような言葉を投げかけられると,子どもは自分自身で気づいて,問題行動をやめられるようになります。

「今はお片づけの時間だった!」「また遊んでしまったけど,お片づけを始めなきゃ!」「お友だちを傷つける言葉を言ってしまった!」「お母さんに前も注意されたな。次から気をつけよう」と自分の行動を振り返り,変えられるようになります。

「自分で気づけたね!」と親が子どもの成長を認めてあげると,子どもは嬉しくなって、ますますいろいろなことに前向きに取り組めるようになるでしょう。

私の教室でも,生徒さんがやるべきことに取り組めず,つい遊んでしまったり,大声で騒いでしまったりすることは多くあります。年齢が小さい子どもの場合,ある程度仕方がないことだと感じます。「ちゃんとやりなさい!」と叱らず,「今は何をやる時間だったかな?」「それは今やることだったっけ?」「大声で騒いでもよかったかな?」「なぜダメか,前にお話したかな?」と生徒さんに質問して考えてもらうようにしています。問いかけるだけで,ほとんどの生徒さんはご自身で気づき,行動を改善してくれるので,私が叱ることはありません。

「いい加減にしなさい!」「やめなさい!」「ダメでしょ!」と感情をぶつける前に,ぜひ子どもに問いかけて,気づくきっかけを与えましょう。「よく自分で気づけたね!」「次からはそうしようね!」とほめることで,子どものやる気を引き出すことができるでしょう。

 

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子どもの集中力の引き出し方~『「損得の人」「好き嫌いの人」の意外に大きい差』から考える

東洋経済オンラインで興味深い記事を見かけたので,シェアさせていただきます。

toyokeizai.net

本記事をもとに,子どもの集中力の引き出し方について考えてみたいと思います。

集中できない原因を探ることが大切

子どもがなぜ勉強に集中できないのか,原因を探ることはとても大切です。本記事の冒頭で述べられている通り,それは勉強に興味関心が湧いていないからかもしれません。勉強に興味関心が湧かない原因も様々です。

  • 好きな教科を見つけられていない→例えば国語ではなく理科なら楽しいと思えるかもしれません
  • 難しすぎる問題ばかりに取り組んでいる。「できる!」「分かる!」という経験が不足している
  • 間違えることが嫌だと思っている
  • 勉強は書き取りや計算問題のような単純作業だと思っている。考える楽しさを知らない

その他,テレビがつけっぱなし,机の上が散らかっているなど,環境的な要因から勉強に集中できないこともあるかもしれません。勉強に興味関心はあるけれども,どのように勉強を進めていいか分からなかったり,勉強しても身に付いている実感がなかったりすることが原因かもしれません。

集中できない原因に応じた対策を取る

子どもに勉強に集中してもらうためには,なぜ集中できないのかを明らかにして,その原因を取り除きましょう。

本記事を執筆された石田勝紀先生は,子どもを「マルチタスク型」「シングルタスク型」に分けて意見を展開されています。

  • マルチタスク型:価値基準は「損得」。無駄が嫌い。効率性を好む。方法論,やり方,ノウハウ,スケジュールなどが大好き。
  • シングルタスク型:価値基準は「好き嫌い」。好きなことは徹底してやるが,そうでないことは後回しにするか,やらない。

当然のことながら人間誰しも、損得、好き嫌いの両方の価値基準を持っていますが、どちらが優位であるかということで考えてみると、何か糸口がつかめるはずです。

確かに子どもの価値基準によって導き方は異なるでしょう。石田先生がおっしゃるところの「マルチタスク型」の子どもに対しては,「こうやったらもっと勉強ができるようになるかな」と効果的な学習法を一緒に模索し,「シングルタスク型」の子どもには好きな分野・教科から取り組ませて,勉強に興味を持ってもらうとよいかもしれません。

大きなポイントは,勉強に集中できない原因がどこにあるかということです。勉強のやり方が分からないから身が入らないという場合は,効果的な学習方法やスケジュール管理などについて子どもと話し合いましょう。好きなことでないと取り組めない性格で,勉強の楽しさが分からないから集中できないという場合は,子どもが「楽しい!」と思える分野や教科から学習を始め,少しずつ範囲を広げていくとよいでしょう。

子ども一人一人の性格や状況に応じて,集中力の引き出し方は異なります。「なぜこの子は勉強に集中できないんだろう?」と原因を考え,子どもに合った対策を立てましょう。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ⑥~周囲と比較して否定するのを止める

周囲と比較して否定すると子どもは自信を失う

「お友達はもうこんな難しいのをやってるんだって!」「まだこのドリルをやってるのはあなただけじゃない!」――。子どもに競争心を持たせたくて,ついこのような言葉がけをしていないでしょうか。

周囲と比べて否定する言葉がけは,子どもの自信を喪失させます。「周りと比べて自分はダメなんだ」とマイナス思考になってしまったり,「自分なりにがんばっているのに!」「お母さん,お父さんは自分をきちんと見てくれていない!」と怒りを感じたり,心を閉ざしてしまうでしょう。

このような言葉がけを続けていると,嘘を付いて見栄を張るような,子どもの言動が目立ち始めます。分からないのに「分かるよ!」,できていないのに「できたよ!」と言ったり,悪い点数を隠して良い点数のものだけ見せたりするようになるかもしれません。子どもの中でコンプレックスが大きくなると,できない部分から目を逸らして,できる部分にしか着目しなくなります。そうなると,上手くいかない原因を分析して、やり方を改善したり,新しい目標に向かって努力したりすることが難しくなるでしょう。

子どもの成長を見守ることが大切

成長のスピードは子ども一人一人によって異なります。現時点で周囲と比較して遅れていても,時間が経つと追いついたり,追い越したりしている可能性も十分にあるのです。私の教室に通われている生徒さんで,成長がゆっくりの子がいましたが,小学校高学年になると,周囲と比較しても高いレベルにまで学力が伸びました。小学校三年生のころには,周囲と比較してかなり成長が遅く,保護者の方も焦っていましたが,「前よりこの部分はよくなったね!」「次はここもできるようになるといいね!」とその子自身の成長を認め,次の目標に向かえるような言葉がけを心がけてもらいました。そのおかげで生徒さんは,「ここはほめてもらえた!見守ってくれていて嬉しいな」「もうちょっとがんばってみよう!」「次はここもできるようになりたいな!」とコツコツと頑張り続けることができました。

成長した点を認め次の目標を伝えることでやる気を引き出す

ありのままの現実を受け止めて,物事に自発的に取り組んでもらうためには,周囲と比較して子どもを否定するのではなく,「前よりこの部分はよくなったね!」「ここもできるようになるといいね!」とよくなった点を認め,次の目標を伝えましょう。そうすれば,「お父さん,お母さんはきちんとがんばりを見ていてくれるんだ!」「まだお友達よりもできないけど,もうちょっとがんばってみようかな!」と子どものやる気を引き出すことができるはずです。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ⑤~「~しなさい!」は効果がない

「静かにしなさい!」「集中しなさい!」「ふざけてないでまじめにやりなさい!」「いい加減にしなさい!」――つい子どもに「~しなさい!」という言葉がけをしていないでしょうか。

「~しなさい!」という言葉がけは効果がない

「~しなさい!」と伝えるだけでは,問題の根本的な解決につながらないため,親が何度も子どもに声かけしなくてはなりません。いつまでたっても子どもが問題行動を繰り返すので,親が毎回声かけしなければいけないという悪循環に陥ってしまいます。子どもも「~しなさい!」と何度も言われると,やる気を失ってしまうでしょう。

問題行動をわざと起こしている子どもはいない

子どもは悪い子になりたくて,問題行動を繰り返しているわけではありません。子どもも親に叱られたくない,自分のことを認めてほしいと願っています。しかし,どうしてよいか分からなかったり,構ってほしかったり,色々な原因から問題行動を起こしてしまうのです。

原因を探り対応策を考える

親の都合や要望を伝えるために,つい「~しなさい!」と口にしてしまうかもしれません。しかし,問題を根本から解決し,子ども自身で考えて行動できるようになるためには,問題行動の原因を探ることが大切です。

「なぜ騒いでしまうんだろう?」「なぜ集中できないんだろう?」「なぜふざけてしまうんだろう?」と原因を探りましょう。子どもに質問して一緒に考えることもおすすめです。子どもの年齢が小さく,質問に答えられない場合でも,考えるきっかけを与えることに意味があります。

原因を探った後には,次のような対応策が見つかるでしょう。

  • 「じっとしてるのは退屈だったね。一緒に絵本を見ようか」「難しすぎたね。簡単なのにしようか」等の代替案
  • 「5分だけがんばってみようか!」「5分がんばれたね!次は10分できるかな?」等の目標設定
  • 「最近,叱ってばっかりだったから,子どもにもストレスがかかっていたのかな。子どもの良い点を見つけたら,ほめるようにしよう!」と親なりの改善点

 問題が解決され,「がんばったね!自分でできたね!」と親がほめることで,子どものやる気を引き出すことができます。「~しなさい!」で済ましてしまうのではなく,ぜひ問題の根本原因にアプローチするようにしましょう。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ④~「それくらい自分で考えなさい!」と言わない

「分からない」「できない」と子どもが質問してきたとき,どのように対処するのがよいのでしょうか。

まずは自分でやらせる

本当は子ども自身でできるのに,甘えて「分からない」「できない」と言っている場合も確かにあります。そのような場合,すぐに手助けしてしまうと,子どもはますます親を頼るようになるでしょう。

自律という観点から考えると,まずは子ども自身で取り組ませることが大切です。「ちょっと自分で考えてみようか」「こうやって調べてみるのはどうかな?」など声かけし,まずは子ども自身で取り組んでもらいましょう。

あとでチェックやフォローを行う

少し時間を置いてから,「あれ調べてみた?分かった?」「あれからどうなった?」と確認するようにしましょう。できていれば,「自分で解決できたんだね!よくがんばったね!」とほめましょう。できていない場合は,「一緒に考えようか」「どうやって調べればいいかな」などサポートするようにしましょう。

このようなチェックやフォローを忘れてしまうと,分からないものが曖昧なまま終わってしまうことがあります。子どもが成長する機会が失われることになるので,注意しましょう。

チェックやフォローを通して,子どもの理解度を確認し,不足している部分についてアドバイスすることで,子どもの思考力をますます高めることができます。

「それくらい自分で考えなさい!」と子どものSOSサインを突っぱねない

忙しいとつい「それくらい自分で考えなさい!」と子どもに言ってしまうかもしれません。ただ子ども自身もどうしてよいか分からず,本当に困っている場合に,そのような言葉がけをしてしまうと心配です。「お父さん,お母さんに相談しても,どうせ『自分で考えなさい』って言われるしなぁ...…」と考え,次第に子どもはSOSサインを出さなくなるでしょう。分からないことやできないことをそのままにし,問題を一人で抱え込んでしまうようになります。

「まずは自分で考えてみよう!」「分からないところは一緒に考えよう!」という姿勢で,ぜひ子どもに向き合ってもらえればと思います。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ③~子どもが勉強しないときの対処法

子どもが勉強しないときの対処法

子どもがなかなか勉強しないとき,宿題をやらずに遊んでいるとき,どのような声かけや接し方をすればいいのでしょうか。次の①~④の選択肢について,それぞれ子どもにどのような影響があるか,効果的なのかどうかを考えてみましょう。

①「早く勉強しなさい!」「いい加減にしなさい!」と言う

このような声かけは「今からやろうと思ってたのに……」「またガミガミ言ってる」と子どものやる気を削いでしまうでしょう。親にガミガミ言われるから仕方なく勉強をする,ガミガミ言われないと勉強をしない……というのが,日常茶飯事になってしまうかもしれません。親が声かけしなくても,子どもが自分から勉強できるような対策を考えることが大切です。

②「何時から勉強する?」と質問する

子どもなりの段取りがあるかもしれないので,まず「何時から勉強するの?」と聞いてみるのはよいでしょう。「~時に勉強しなさい!」と言われるよりも,子ども自身で時間を決めた方が,約束を守ろう,時間通りに勉強しようという意識が高まります。約束の時間になっても勉強をしないときは,声掛けするようにしましょう。

「がんばったら~買ってあげるよ!」とご褒美で釣る

一時的にはやる気を引き出すことができ,子どもは勉強に取り組むようになるでしょう。しかし,ご褒美がないとがんばれなくなったり,「これやったら~ちょうだい!」と駆け引きをしてくるようになったり,長期的に見ると問題が出てくるかもしれません。(親のため,他の誰かのためではなく)子ども自身のために勉強していること,日々の取り組みが将来の夢や進路に繋がっていることを子どもに理解してもらいましょう。ご褒美がなくても勉強に取り組めるようになると理想的です。

④「今日はどんな勉強をするの?」と質問する

このような声かけは「今日は何が宿題だったかな?」「どんなことを勉強するんだったかな?」と子どもが考えるきっかけになります。勉強に興味を持つことができず,なかなか手を付けられない子どもの場合,このような声かけを通じて,興味が湧くことも少なくありません。「今はどんなことを勉強してるの?」「今,習っている範囲をお母さん,お父さんに説明してみてほしいな」「ちょっと一緒に考えてみる?」と子どもの学習に親が関心を示し,会話をすることで,子どもは宿題だけでなく普段の授業にも少しずつ興味を持つようになるでしょう。

子どもが勉強しないとき,上記を参考にして,ぜひ色々なアプローチを試していただければと思います。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ②~子どもに適度な期待をかける

適度な期待は子どものやる気を引き出す

がんばればもっとできるはずなのに,伸び悩んでいる子ども。「あなたならもっとできるはず!」「もう少しがんばって!」と声かけしたいけれども,子どもにプレッシャーをかけそうで躊躇してしまう……というご相談をよくいただきます。子どもに期待をかけるのは,よいことなのでしょうか。

適度な期待は,子どものやる気を引き出します。「これで十分だね」「よくできたね」とほめると,子どもはその時点で満足してしまったり,「自分はここまでの人間なんだ」と少し寂しく思ったりすることもあるでしょう。

ただし,声かけの仕方によっては,確かに子どもにプレッシャーを与えてしまったり,やる気を削いだりするので,次のような点に注意しましょう。

できている点はほめる

 「この部分はいいね」とよい点は認めながらも,「さらにここもできるといいね」ともう一段上の目標を伝えましょう。目標だけ伝えると,「まだダメなんだ」と後ろ向きになりやすいので,よい点と併せて伝えるように心がけることが大切です。

生徒さんの実例をご紹介します。作文がやや苦手なAくんの親は,「他の教科ができるからいいかな」「あまり指摘しすぎて嫌になっても困るし」と,作文についてはあまり声かけしませんでした。Aくんも「これくらい書ければいいかな」と特に問題意識を持っていなかったようです。昔,Aくんの親が「こう書いた方がいいよ!」とAくんにアドバイスしていた時期もあったのですが,Aくんはしぶしぶ指摘された点を書き直すといった様子で,あまり改善が見られなかったそうです。

ところが私の教室に通い始め,「この部分はいいね!」「ここはもっとこう書くと分かりやすいかもしれないね」などフィードバックしていくうちに,「もっと分かりやすい作文を書くにはどうすればいいかな?」「この表現のほうがいいかな?」とAくんに向上心が芽生えてきました。

よい点を認めつつも,「ここを変えるともっとよくなるよ!」とがんばれば手の届く目標を子どもに伝え続けることで,一歩ずつステップアップしていくことができます

具体的ながんばり方を伝える

 「あなたならできるはず!」「がんばって!」と言われても,がんばり方が分からなければ子どもは困惑し,プレッシャーを感じてしまうでしょう。

具体例をご紹介しましょう。Bくんはお母さんに「ばく,将来パイロットになりたい!」と話しました。お母さんは「パイロットになるのは大変だよ!お勉強もできないといけないし,英語も話せないといけないね。体力もないといけないし。がんばろうね!」と言いました。それを聞いたBくんは「ぼくには無理だ。やっぱりやめておく」と後ろ向きになってしまいました。

「勉強も英語も体力も必要」というのは,確かにがんばり方を伝えているかもしれませんが,具体的に何にどのように取り組めばいいのか分からず,子どもを不安にさせてしまいます。「本当にできるのかな!?何だか大変そう……」と子どもはプレッシャーを感じてしまいます。

「パイロットになるには,お勉強をがんばった方がいいね」「学校のテストは80点以上を取れるようにするといいね」「体力も必要だから,今やってるサッカーはこのまま続けられるといいね」「中学校に入ったら英語もがんばろうね」「まだ小学3年生だもんね!時間はたくさんあるから,一つずつ取り組んでいこう!」など,どうやったら目標を達成できそうか,具体的な道筋を示すようにしましょう。

マイナスな表現ではなくプラスの言葉を使うようにする

同じことを伝える場合でも,表現によって子どもの受け取り方は変わってきます。「これをやらないといけないね。あれもやらないといけないね」「がんばらないと無理だよ」と言われると,焦って後ろ向きになってしまう子どもが多いです。「順番に一つずつやっていこうね」「まずはこれをがんばろう」「がんばれば大丈夫だよ」など,前向きな言葉がけをするようにぜひ心がけてください。

 「ここまでできたね!」「もうちょっとがんばってみよう!」と子どもに適度な期待をかけ,ぜひやる気を引き出しましょう。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ①~脅すのではなく,どうしたらいいかを問いかける

子どもの悪い成績を見て,「こんな成績じゃ上の学年に上がれないよ!」「こんな問題も解けなかったの!?」「恥ずかしい……」と感情的な言葉がつい口から出てしまう……というお悩みを多く耳にします。このような言葉を投げかけることで,子どもに危機感を持ってもらえるのでは?とお考えの保護者の方もいるようです。果たしてこのような言葉がけは効果的なのでしょうか。

脅しても子どものやる気は引き出せない

「こんな成績じゃ上の学年に上がれないよ!」「こんな問題も解けなかったの!?」と言われて,「悔しい!がんばるぞ!」と闘志を燃やす子も確かにいるかもしれません。しかし私の経験上,「どうせ,ぼく・私は勉強ができないもん」「勉強なんか嫌いだ」「頑張っても無駄だ」と後ろ向きになってしまう子どもの方が多いと感じます。

また,日常的にこのような頭ごなしの発言をしていると,子どもとの信頼関係を築くことが難しくなります。親子間の信頼関係がないと,子ども自身で目標を持ち,自己実現しようという気持ちがなかなか起こりません。

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「親に相談なんかできない」「大人は分かってくれない」と問題を溜め込み,非行に走りやすくなる可能性もあるので注意しましょう。

子どもに問題意識を持たせる

感情的な言葉を投げかけるのではなく,「この成績についてどう思う?」とまずは子どもに感想を聞いてみましょう。「悔しかった」「この部分は頑張ったのにできなかった」「勉強が足りなかった」など,子どもの率直な意見を聞くことが大切です。十分に反省しているのに,「こんな成績じゃ上の学年に上がれないよ!」「こんな問題も解けなかったの!?」などという言葉を投げかけてしまうと,やる気がそがれてしまいますので気を付けましょう。

「特に何も思わない」「まぁまぁできた!」という場合は,「今回の目標得点は何点だったかな?」「~中学校に入りたいんだよね。だったら何点くらい必要かな?」と目標を思い出してもらい(あらかじめ目標を立てておくことが大切です),理想と現状の差に気づき,問題意識を持つことができるように導きましょう。

努力した部分については認める

 たとえ成績が悪かったとしても,「前よりは勉強時間を確保できていたよね」「この問題はできるようになったんだね」と努力した点や成長した点についてはほめるようにしましょう。そうすれば,「お父さん,お母さんはしっかりと頑張りを見ていてくれるんだ!」と子どもはますます努力できるようになります。

今後の対策を立てる

 「今回なぜこんな成績になったのかな?」「次からどうすればいいかな?」「せっかく頑張って勉強しているから,もっと身に付くようなやり方を探そうよ!」と原因や対策について話し合い,次に生かしましょう

「失敗は悪いことじゃないよ」「失敗しても大丈夫だけど,次に生かして,同じ失敗を繰り返さないことが大事だよ」と,失敗を次に生かすことの重要性についても,ぜひ子どもに伝えましょう。

このような言葉がけをすれば,子どもは問題意識を持ちつつも,悲観的になりすぎることなく,「次はがんばるぞ!」と前向きに学習に取り組むことができるでしょう。

 

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