『「学力」の経済学』から学ぶ教育⑥「子どもが小さいうちに教育に投資しよう」

事業活動を通じて,「いつ子供の教育にお金をかけるのが良いでしょうか」という相談を受けたり,「まだうちの子は小さいから,もう少し大きくなってから良い教育を受けさせようと思います」「高校受験や中学受験前にお金をかけるつもりです」という意見を耳にしたりします。子供の教育に時間やお金をかけるとしたら,一体いつが良いのでしょうか。

教育にはいつ投資すべきか

上記テーマを考察するにあたって,『「学力」の経済学』では次のような前提・考え方が紹介されています。

  • 教育を経済活動として捉え,将来に向けた「投資」として解釈する
  • 「教育を受けたことによって,子どもの将来の収入がどれくらい高くなるか」を「教育の収益率」として数字で表す

「教育の収益率」に関する研究結果は以下の通りです。

  • 投資の収益率は,子どもの年齢がちいさいうちほど高い。就学前がもっとも高く,その後は低下の一途を辿る
  • 一般的により多くのお金が投資される高校や大学の頃になると,投資の収益率は,就学前と比較すると,かなり低くなる

人的資本への投資は子どもが小さいうちにおこなうべき

事業活動を通じて,本研究結果はとても納得のいくものだと感じています。幼少期の過ごし方・教育によって,子どもの性格がある程度決まってしまうため,大きくなってから「良い教育」を受けたとしても,吸収できず,教育効果が出ないことがあります。

例えば,受け身の姿勢が身に付いてしまっている生徒の場合,いくら自分で考えるよう声掛けしても,すぐに答えを求める,先生の指示がなければ何もできないため,性格を変えるところからスタートしなければいけません。

勉強嫌いの生徒についても同様,意識を変えるところから始めなければ,教育効果を出すことは難しいです。「自分は勉強ができない」「勉強ができないと怒られる」と無意識に思っているので,簡単な問題に対してしかやる気が起こらない,分かっているふりをするという事態が発生します。このような状態では本格的な指導に入ることができないため,「勉強ができなくても大丈夫」「間違えることは怖くない」という意識改革をするところからスタートする必要があるのです。

幼少期の投資=学習塾や英才教育ではない

このように,人格形成等,学力以外の能力も非常に重要です。研究結果を受けて,「明日からでもわが子を学習塾に通わせよう」と考えるのは拙速であると『「学力」の経済学』でも注意が呼び掛けられています。

例えば,付きっきりで勉強を教えても,子供が受動的に言われたことだけをやる性格になってしまいますし,英才教育の教室に通わせても授業に付いていけていないと,劣等感が芽生え勉強嫌いになってしまいます。このような場合,子供の将来を考えると,むしろマイナスの影響があると言えます。

幼少期は特に,親が子供に無理やり何かをやらせるのではなく,子供が好きなことを見つける,子供自身で目標を立てる,目標達成に向けて子供自身で考え,試行錯誤する期間であってほしいと思います。

 

 

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