子どもの「やり抜く力」を高める方法⑦~本当に好きなことを見つける

「やり抜く力」を高めるために,子どもが本当に好きなことを見つけましょう。好きなことだからこそ,「もっと上達したい」「壁を乗り越えたい」と努力し続けることができます。反対に,本当に好きなことでなければ,「できなくてもいいか」「いつ辞めてもいいや」となかなか真剣に取り組むことができません。

なるべく子どもが小さいうちに,本当に好きなことを見つけましょう。学年が上がると、学習が本格化し,学校生活も忙しくなるので,年齢が小さいうちに様々な体験をさせ,何が好きかを見極めることが重要です。

その際,「親がやらせたいこと」に取り組ませるのではなく,「子どもの好きなこと」を引き出すように注意してください。先ほど説明した通り,自分が本当に好きなことでなければ,「やり抜く力」を高めるのが難しいためです。本当に好きなことかどうかは,子どもの表情や目の輝き,集中力で,判別できるはずです。

そして,子どもが興味を持ったことを「こんなくだらないもの……」と否定しないよう気を付けましょう。一見くだらないように思えることが,実は別の分野に繋がっていたり,そこから興味が派生したりというケースは多いものです。

たとえばAくんは3歳のころ,床屋のサインポール(赤,青,白のくるくる回るライト)が大好きでした。サインポールを見ると,必ず立ち止まり、30分以上その場に座り続けます。それを見たAくんのお母さんは「この子は電気が好きなんだ!」と思い,理科の実験キットを買い与えました。Aくんは夢中になって,電池をつないだり,電球が光るのを観察したりしました。その後も,Aくんは様々な実験キットを通じて,自身の興味を深めました。年齢が上がるとAくんは,道路を走っている車,新幹線や電車を観察して,構造を分析し始めました。

Aくんのお母さんは,Aくんが興味を持ったことに,とことん付き合いました。図鑑を一緒に調べたり,イベントに足を運んだり,Aくんが好きなことを深められるよう,徹底的にサポートしました。

Aくんは現在,私のロボット教室に通っていますが,群を抜いてロボットの組み立てが上手です。物体の構造に関する理解も深く,自力で考えて,写真のロボットをブロックで再現することができます。集中力,やり抜く力ともに非常に高いです。Aくんは,困難にぶつかっても,決してあきらめません。「将来エンジニアになりたいから頑張る」とAくんはいつも話します。

Aくんが3歳のときに,お母さんが「サインポールばかり見て。くだらない!」「早く行くわよ!」と,ぞんざいに扱っていれば,現在のAくんはなかったでしょう。

親が子どもの興味を観察し,本当に好きなことを見つける取り組みを実施することが,「やり抜く力」を高める上で非常に重要です。