子どもの「やり抜く力」を高める方法⑪~親が失敗を見守る強さを持つ

子どもに失敗を経験させることは,「どこが良くなかったかな?」「どうすれば上手くいくかな?」と考えるきっかけになるため,「やり抜く力」の向上に役立ちます。学習や練習方法を試行錯誤し,成果を出し続けることで,物事を「やり抜く」ことができるのです。

子どもに失敗を経験させるためには,親が失敗を見守る強さを持つことが重要です。失敗は成長の機会であるにも関わらず,子どもの失敗を防いでしまう親が少なくありません。なぜ親は子どもの失敗を防いでしまうのでしょうか。

(1)親が恥をかきたくないから,イライラするから

「子どもが失敗すると,親がきちんとしていないと思われる」「恥をかきたくない」「なかなかできない様子を見ているとイライラする」という理由から,子どもの失敗を防いでしまうケースがあります。子どもの忘れ物が多かったり,宿題が出来ていなかったりすると,親が罪悪感を覚え,イライラするかもしれません。

確かに「お母さんがチェックしてください」「ご家庭でやってください」と先生から指示されたものは,きちんとできているか,親が最終チェックをする必要があります。しかしその過程や,他のことはなるべく子どもに任せるようにしましょう。

練習や学習をする時間を決めておいて,約束通りにできるかどうか,一度子どもに任せてみてください。幼稚園や習い事の前に,親が最終チェックして,できていなければ、原因を分析して対策を立てます。このような形で取り組ませると,子どもに失敗するチャンスを与えることができます。

着替えや出かける準備なども,子どもに任せましょう。最初は上手くできず,時間がかかるかもしれませんが,失敗を繰り返すことで,「どうしたら上手くできるかな?」と子ども自身で学び,成長していきます。「子どもが失敗したら恥ずかしいから」「見ているとイライラするから」という理由で,子どもの失敗を防がないようにしましょう。

(2)うちの子にはできないと思っているから

「うちの子はできが悪いので親がやらないとダメだ」「まだ子どもだから親がやってあげないと」と考え,失敗を防いでしまう親がいます。しかし,このような考え方では,いつまでたっても子どもに物事を任せることができず,子どもは成長できないままになってしまいます。

自転車の練習を例に挙げて説明しましょう。「まだできないから」と言って,補助輪付き自転車にずっと乗っていては,なかなか補助輪なし自転車に乗れるようにはなりません。最初は上手く乗ることができなくても,補助輪なし自転車で何度も練習した方が,上達スピードは速いのです。時には転んで,けがをしながら,子どもは補助輪なし自転車の乗り方を体得していきます。

子どもは失敗を繰り返しながら学び成長します。子どもを信じて任せる,チャレンジさせることが大切です。

(3)失敗したら子どもがかわいそうだから

「失敗して落ち込んだらかわいそう」「先生に叱られるのがかわいそう」という理由で,失敗を防いでしまう親も少なくありません。

確かに,親が代わりに何でもやってあげて,失敗を防げば,子どもが落ち込んだり,先生に叱られたりせずに済みます。短期的には問題が発生せず,生活がスムーズにいくので,快適に感じるかもしれません。

しかし子どもに失敗を経験させないことは,長期的に見ると,大きな問題をはらんでいます。失敗させたくないあまり,親が何でもやってあげると,次第に子どもは自分で考えて行動することができなくなります。他人にやってもらうのが当たり前になり,「どこが上手くいっていないんだろう?」「次からどうすればいいんだろう?」と自分で考えられなくなるのです。

このような指示待ち人間は,物事をやり抜き,社会で活躍することが難しいでしょう。失敗を防ぎ,子どもの成長を妨げることの方が,長期的に見て「かわいそう」なのです。

失敗して落ち込んだり,先生に叱られたりするのも貴重な経験です。子どもの落ち込みが大きいようであれば,親がフォローしましょう。「なぜ今回は上手くいかなかったかな?」「次からはどうすればいいかな?」「対策を試してみたら次は上手くいくよ!」など,失敗から学び,次に生かせるような声掛けを実施してください。

 

【関連記事】

blog.terak.jp