叱られたくて,問題行動を起こしている子どもはいません。子どもは皆,お父さんやお母さんからほめてもらいたい,認めてもらいたいと願っています。それなのに,なぜ問題行動を起こしてしまうのでしょうか。
問題行動だとわかっていないから
大人から見ると問題行動に思えることも,子どもは問題行動だと思っていないことがあります。
具体例をご紹介しましょう。小学一年生のAくんは授業中に私の話をまったく聞いてくれません。「そんな問題やりたくない!」「おれは自己流でいく!」「好きなプログラミング作品をつくりたい!」「お手本なんて見なくてもロボットをつくれる!」――。授業中,Aくんは自分の思いのままに行動します。自分のやりたくないことは一切やりません。
そこで私は次のような話をしました。「お手本通りに勉強することは大切なことなんだよ。お手本通りに勉強したら,色々な知識や考え方が身につく。すると先生に質問しなくても,自分の好きな作品をつくれるようになるんだよ。」「だから,まずはお手本に沿って勉強をしよう。好きなことばかりやると遊びになってしまうよ。授業では毎回やるべきことがあるけど,それをやっていくと力がつくようになっているんだよ」――。
このような話をすると,Aくんは「そうなの⁉」ととても驚いた様子でした。授業中に好き勝手にすることを,Aくんは問題行動だと思っていなかったようです。授業中には何をすべきか,そのことにどんな意味があるのかを説明すると納得したようです。このような話をしたあと,Aくんはカリキュラムに沿って学習を進められるようになりました。
このように大人から見ると問題行動に思えることであっても,子どもは問題行動を起こしているつもりがないこともあります。なぜその行動はよくないのか,どのように行動するのがよいのか,その行動を取るとどうなるのか,ぜひ子どもと話し合いましょう。子どもが納得すれば問題行動がおさまるはずです。
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