『「非認知能力」の育て方』から学ぶ家庭教育~①非認知能力があれば幸せな人生を歩める

『「非認知能力」の育て方 心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育』(ボーク重子/小学館)をもとに,効果的な家庭教育について学びます。

非認知能力とは何か?

「非認知能力」=問題解決力、柔軟性、心の回復力、自制心、やり抜く力、社会性、共感力など。従来の「学力」とは異なる、数値化できない人間力のこと。

シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授の研究によると,乳幼児期の早期教育では,学習面を強化しても,IQの数値を短期間高めるだけで,長期的に高めることにはつながらないことがわかりました。就学前教育を受けた子どもたちが伸ばしたのは,誘惑に勝つ自制心や,難解な課題にぶつかったときの粘り強さなどの「非認知能力」だったそうです。

「非認知能力」は幸せな人生を歩むために大切

乳幼児期の早期教育を受け「非認知能力」を伸ばした人と,そうでない人を比べると,高校卒業率や平均所得,生活保護受給率,犯罪率に大きな差が表れたそうです。また「非認知能力」が伸びれば,学力も当然伸びると書かれています。

  • 自制心や想像力,自己肯定感,主体性などの非認知能力が高ければ,何かをやりたくないときも,自分が何をすべきか考えて主体的に参加することができる
  • 自己肯定感や自信があれば,少しくらいテストの点数が悪くても,次は頑張ろうと思えるし,人と違うことを気にせず自分の好きなことを追求できる
  • 困難な問題にぶつかっても,やり抜く力と回復力に後押しされて,創造力や論理的思考,問題解決力などを使って柔軟に解決できる→さらに難しい問題に挑戦できる→ますます学力が付いてくる

研究の結果,「非認知能力」がもっとも伸びるのは10歳までの乳幼児期であることもわかりました。

理解力が高く,飲み込みが早い子でも,先生からの指示がなければ動けない,すぐに挫折してしまう,難しい課題は投げ出してしまう子もいます。このような子どもの場合,将来,自分の力で人生を歩んでいけるか心配です。年齢が大きくなるほど,子どもの考え方を変えるのが難しくなるため,早い段階で「非認知能力」を身に付けておくことが大切だと思います。

日本の「お受験」について

早期教育と言っても,お受験をさせるのが良いということではありません。著者は日本の学歴重視の傾向,受験の早期化に警鐘を鳴らします。

[……]早期教育は「何のためにやるか」が大事なのではないでしょうか。

子ども自身が興味を持って自発的にやるなら、とてもいいことだと思います。「この本を自分で読めるようになったら楽しい」とか、「早く誰かにお手紙を書きたい」とか、「英語を話せたら、ほかの国の人とも話せて嬉しいな」など、世界が広がるような目的があって、それを叶えられたとき、子どもは大きな達成感と自信を得るでしょう。

一方で,合格のために塾通いをする,親を喜ばせたいから子どもが頑張るというのは,子どもの自己肯定感や主体性などを育む機会になりません。親の顔色を伺うのではなく,子ども自らが考え,自分の人生を歩んでいけるようにすることが大切です。

ぜひこのような視点を持って,子どもの進路や教育について考えてみてください。

 

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