どうすれば子供が自律するのかを考えるために,「自律した状態」について分析してみましょう。どういう状態になれば,子供は自律するのでしょうか。以前,自律した状態になるには,次の4つの要素が必要であることを述べました。
【復習】自律に必要な4つの要素
1.現状を把握できる
2.目標を設定できる
3.目標達成方法=対策を考えられる
4.対策を実行できる
今回は3つ目と4つ目について詳しく見ていきます(1つ目と2つ目の要素については,以下の過去記事をご覧ください)。
3.目標達成方法=対策を考えられる
現状が正確に把握できる→目標が設定できれば,次に目標達成の方法を考える段階に入ります。ただやみくもに行動・勉強していれば目標達成できるということはありません。
その行動や勉強方法を続けることで,本当に目標達成に向かっているのか,きちんと考える必要があります。目標達成方法を吟味せずに,思い付きで行動・勉強を進めても成果は出ません。時間が無駄になるばかりか,「こんなにやっているのにどうして......」とやる気まで低下してしまいます。
以下,目標達成方法をきちんと考えられていない,ありがちなNGパターン例をいくつかご紹介します。お子様に当てはまるものはないか,チェックしてみてください。
目標達成方法を考えられてないNG勉強法の例
(1)難易度の高さにこだわりすぎる
基礎的な問題でつまずいているのに,応用問題に取り組んでも学習効果は期待できません。「周りがやっているから」「もうすぐ受験だから」という理由で,塾に通って難しい授業を受けたり,受験対策問題ばかり演習しても,空回りになってしまいます。このような対策をいくら続けていても,状況はなかなか良くならず,目標達成には近づきません。
本当に数か月後に得点を上げる=目標達成したいなら,自分が分からない難易度の問題にさかのぼって,そこから取り組んだ方がはるかに効果的です。
たとえば「将来,宇宙飛行士になりたいから」と言って,いきなり大学の講義を受けて理解できるでしょうか。前提となる数学や理科の知識がなければ,受講しても意味がありません。
話のレベル間こそ違えど,難易度の高い問題にこだわったり,自分のレベルとかけ離れた授業を受けたりするのは,これと同じことです。まずは前提となる基礎を固めることが,時間がかかるようでいて,目標達成の一番の近道です。
基礎学習の重要性については,こちらの記事でも触れています。
(2)間違えた問題をそのまま放置している
問題集を先に進めることや,問題数をこなすことが目的化してしまっている場合も多く見受けられます。どこを・なぜ間違えたのか確認しなければ,同じ間違いを繰り返します。急いで問題を進めるだけで,この作業を怠っていれば,もしテストで類似問題が出ても間違えてしまうのです。
そう考えると,数か月後に得点を上げる=目標を達成するためには,問題数をこなすだけではなく,ひとつの問題からいかに多くのことを吸収できるかが鍵であることが分かります。
また一度間違いを確認して,その場では原因を理解しても,やはりどうしても同じ間違いを繰り返してしまうものです。間違えた問題については,間違いの原因を書いたメモややり直しノートを作成したり,反復演習したりするなど,同じ間違いを繰り返さないような工夫が必要です。
(3)テストのやまを張る
一見,テストの得点アップ=目標達成に近づいているように見えるかもしれませんが,長期的に考えれば無意味です。やまが当たって,一時的にテストで高得点を取れるかもしれませんが,次回以降の目標達成には繋がっていかないためです。
学校テスト→模試→受験→将来の夢と目標達成を繋げていくためには,地道に全範囲に対する理解をまんべんなく深めていくほかありません。小手先のテクニックは,長期的に見れば全く効果的な対策ではありません。
4.対策を実行できる
考えた目標達成方法=対策を根気強く実行することも大切な要素です。
対策を実行できたか・できていないか毎日見える化する(自律に必要な4つの要素1つ目)→目標が高すぎるなど変更した方が良い場合は再設定する(要素2つ目)→対策を改善する(要素3つ目)→新しい対策を実行する(要素4つ目)というサイクルをずっと回していくことになります。
このサイクルを子供自身で回せるようになれば,完全に自律している状態と言えます。
以上,自律に必要な4つの要素及び自律している状態の定義についてお伝えしました。あなたのお子様は現時点でどれくらい自律学習できているでしょうか。上記NGパターンには当てはまっていないでしょうか。ぜひ一度ご家庭でチェックしてみてください。
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