子供が遊んでばかりいて勉強しない。いつも周りがうるさく「勉強しなさい」と言って無理やりさせている。「何とか自分から勉強してくれないものか......」と悩む保護者様は少なくありません。
子供が自分から勉強しない原因は何でしょうか。
「やるべきことが明確になっていない」ことが原因の一つとして挙げられます。今日は宿題が出たのか・出ていないのか,宿題はどれくらいの量なのか,何時間くらいかかるのか,頭の中で何となく把握しているだけだと,なかなか「勉強する」というアクションを起こすことができません。
一日の計画を立てることの重要性
『カエルを食べてしまえ!』ブライアン・トレーシー〔著〕 門田美鈴〔訳〕/ダイヤモンド社)に次のような記述があります。
計画を立てれば,未来が現在になり,あなたは行動を起こすことができる。
アラン・ラーキン
考え,計画を立てるという行為は生産性と成果を高める。前もって時間をかけてリストを作っておけば,その通りに進めるだけで,効率よく仕事がはかどる,と著者は述べています。
家庭教育での実践
毎日,その日の学習内容をリスト化し,お子様にタイムスケジュールを立ててもらいましょう。特に次の2点に気を付ければ,効果が出やすくなります。
(1)現実的な計画にする
休憩,お風呂,夕食など,勉強外の時間も計画に含めるようにしましょう。現実的な計画でないと,実際の生活リズムとの間に大きなズレが生じ,計画を立てた意味がなくなってしまいます。結局,立てた計画を参考にせず,気が向いたときに勉強するという事態になりかねません。勉強以外でも,想定されるイベントは全て計画に含め,実績との差が大きくなりすぎないように注意しましょう。
(2)期限と内容を明記する
「〇時~〇時:算数問題集〇ページ~〇ページ」など,取り組む時間と内容を明記しておきましょう。詳細に記載しておくことで,時間ごとに何に取り組むべきか,進捗はどうか,把握しやすくなります。
「今日は算数問題集と国語問題集と理科問題集を進める」という計画だと,何時にどこまで進めておくべきか明確ではないため,危機感が芽生えず,アクションを起こしにくくなります。結果,「勉強はしていたけど,やるべきことが終わらなかった。なぜだろう?」という事態に陥りやすくなります。
期限と内容を予め決めておくことで,「この時点でここまで終わっていないとまずい!」「今日は進捗が遅いから,遊びの時間が取れないかも!?」など,お子様自身で気付き,アクションを起こせるようになります。
長期・中期目標から逆算した計画立案
一日のやるべきことを洗い出すにあたって,長期・中期目標が描けているかは非常に大切です。将来どうなりたい/このような進路を歩みたい→数年後にこうなっていたい→そのためには1年後こうなっていたい→......数か月後,1ヶ月後,1週間,1日と逆算してどんどん目標や計画を細分化していきます。夢や理想を実現するために,長期目標,中期目標,短期目標が結びついていることを確認しましょう。逆に結びついていない場合には,現状があらぬ方向に向かっていきますので,注意が必要です。
長期・中期目標については,お子様が小さい場合,自身で設定することが難しいです。保護者様が質問をしたり情報提供したりしながら,お子様をサポートしてください。
一日のやるべきことをお子様に考えさせず保護者様が提供する,一日のやるべきことが長期・中期目標と結びついていない場合,お子様は自律しません。「これをやりなさい」と一方的に課題を与えられても,「なぜそれをやらないといけないか」という理由を心底理解できていなければ,自ら行動を起こすことは難しいです。結局,うるさく「勉強しなさい!」と言われないと出来ないので,一日の計画を立てたとしても,その効果は期待できません。また目標設定・計画立案の力も向上しません。
まずは保護者様がサポートして,目標設定・計画立案の考え方に慣れてもらう→お子様の年齢が上がれば,保護者様が手を離し,ご自身で目標設定・計画立案できるようになるのが理想的です。この段階に到達すれば,お子様は常に自ら理想を掲げ,その実現に向け,自己成長を続けられるようになります。すなわち社会で活躍できる自律した人財となります。
以上,計画立案の重要性とコツについてお伝えしました。ぜひご家庭で実践してみてください。
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