『「学力」の経済学』から学ぶ教育⑤「良い学校に入れるのが子供にとってプラスとは限らない」

「子供にはなるべく良い学校に入ってほしい」,「レベルの高い友達に恵まれるとプラスの影響があるにちがいない」,「良い学習環境を与えてあげたい」――保護者様のこのような意見をよく耳にします。今回は,友達が与える影響・子供にとっての良い環境について考えていきたいと思います。

優秀な友人から良い影響を受けるのは,学力の高い子供のみ

『「学力」の経済学』では,学力の高い友人から良い影響を受けるのは,もともと学力の高い子どものみであり,学力の低い子供にはマイナスの影響があると述べられています。学力の高い同級生の存在は,学力の低い生徒の自信を喪失させ,進学意欲を失わせるという実験結果もあるそうです。

この意味では,学力の高い友だちと一緒にいさえすれば,自分の子どもにもプラスの影響があるだろうと考えるのは間違っています。むしろ,レベルの高すぎるグループに子どもを無理に入れることは,逆効果になる可能性すらあるのです。

実力以上の学校に入ることの危険性

先の実験結果が意味することは,親が付きっきりで指導したり,塾で詰め込み学習をしたりして,無理やり良い学校に入っても,子供の実力以上の学校であれば,マイナスの影響を受けかねないということです。

実際,事業活動を行う中で,親の意向で良い学校に入ったものの,授業や周りの友人のレベル・話題についていけず,辛い学校生活を送っている生徒さんを見てきました。本人の実力に合った学校で上手くやっていった方が,自信も喪失せずに済み,人生の可能性も広がったはずです。

「レベルの高い学校に入ってほしい」「それが子供のためになるはず」という思いを一度捨て,冷静にお子様の志望校・進路を考え直してほしいと思います。

問題児が少ない環境選びが大切

一方,「レベルの高い学校」ではなく,「問題児の少ない学校」に子供を入れることには,大きな価値があります

子供は,飲酒・喫煙・暴力行為・ドラッグ・カンニングなどの反社会的行為について,友人からの影響を受けやすく,また問題児の存在が,学級全体の学力に負の員が効果を与えることが,研究により明らかになっているそうです。問題児が多く,子供が悪影響を受けやすい環境にある場合,思い切って引っ越しするのもひとつの選択であると著者は述べています。

以上を踏まえると,実力に合ったレベルで,問題児が少ない環境・「荒れていない」学校が,子供にとって最もプラスになると言えます。

 

 

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