『一流の育て方』をもとに,「ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子」を育てる家庭教育について考察します。
一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる
- 作者: ミセス・パンプキン,ムーギー・キム
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『一流の育て方』では,リーダーシップがありグローバル企業で活躍する東大・京大・早慶生が記述したアンケート結果を基にした,効果的な家庭教育が紹介されています。本書を参考にしながら,今回は「子供に学習習慣を身に付ける方法」について考えていきたいと思います。
強制しても,自由にさせても,子供は勉強しない
「勉強しなさい」は効果がない
まず「勉強しなさい」と口うるさく言って,勉強させようとする親の試みは不毛です。「勉強しなさい」と言うだけで,子供が自分から勉強するようにはなりません。
事業活動を行う中で,「『勉強しなさい』と言っても子供が勉強しないんです」「一時的にイヤイヤ勉強したとしても,また次の日には親がうるさく言わないといけません」という保護者様のお悩みをよく耳にします。これは「勉強しなさい」と言うのが効果がないことの証です。
子供の自主性に任せても勉強しない
だからと言って,「子供が自分で勉強するまで待とう」「やる気がないようだから放っておこう」と自主放任という方針も,効果が期待できません。
自主性に任せても勉強しないし,反対に強制しても梃でも動かないのです。では,どうすればよいのでしょうか。
強制でも放任でもなく,モチベーションを刺激する
『一流の育て方』で紹介されている,効果的な勉強のさせ方の中から,私が特に大切だと思うものをピックアップしてみました。
1.強制するのではなく「背中」で教える
2.幼少期に「学習習慣」を贈る
3.「なぜ」と問いかけ「考える習慣」を付けさせる
4.勉強の「メリット」を教える
5.良い教育環境を贈る
6.「競争意識」を育む
7.「報酬」を与える
8.努力を評価してあげる
以下,それぞれを詳しく見ていきましょう。
1.強制するのではなく「背中」で教える
『一流の育て方』では,親自身が学習習慣を持ち,その姿勢を子供に見せることの重要性が述べられています。
中高生の子どもが「勉強しない」と嘆く親御さんの話を聞いていますと、小学生のときに、何も手を打っていないことが多いものです。そのような親御さんに多いのは、自分の行動が、子どもの将来にどれだけ重要な意味を持つかという認識に欠けていることです。
育児中の親で忙しくない人はいません。しかし子どもが勉強しないと嘆く親御さんほど、自分はいつもテレビにかじりついているか、お付き合いなどで外出していることが多いものです。
親自身が常に本を読み,学習する姿勢を見せていれば,言葉で「勉強しなさい」と言わなくても,子供は自然と学習するようになります。
親は何も努力せず、子どもの指導を塾や家庭教師に丸投げして、言葉だけで勉強を強要しても効果はありません。子どもが自然に学習習慣を持てるように、親自身が日々の行動で見本を見せてあげたいものです。
弊社では,お子様の指導だけでなく,保護者様の勉強会も開催していますが,根底には「子供だけに勉強を強要するのは公平でない」という思いがあります。保護者様も(もちろん講師も)お子様と一緒に学習していく必要があると考えています。
勉強会にいらっしゃっている保護者様がある日,お子様に「ぼくだけ勉強してる!お母さんも勉強したら?」と言われ,早速,弊社勉強会の復習・宿題をやっている姿勢をお子様に見せたということでした。このように,ぜひ親の「背中」で教えることで,「勉強するのが当たり前」の家庭環境をつくってほしいです。
2.幼少期に「学習習慣」を贈る
なるべく早い時期に,遅くとも小学生の間に,家族の自然な生活リズムに,子供の勉強時間を組み入れることは,とても大切です。
幼少期の学習習慣は、子どもの人生を通じて大きな影響を及ぼします。[......]勉強嫌いな子でもこの時期に学習習慣を身につけてやることは、どの時期よりもたやすいのです。
例えば,夕食前の1時間を勉強する時間と決めて,その時間はどんな都合が生じようとも勉強時間にするという家庭教育は,子供に勉強習慣を付ける上でとても効果があったと筆者は述べています。小学生に学習習慣をつけてあげれば,中学以降は放っておいても,その習慣が子供を導いてくれます。
また,勉強嫌いにしないために,勉強の時間を「苦しい時間」にしないことも重要です。
[......]勉強の目標を手の届く範囲の少し上に設定させ、小さな成功体験を積み重ねることが学習の習慣化につながります。[......]成功体験を持つと、眠れる獅子が目覚めたかのように、目標に向かって主体的に取り組み、集中力を発揮するものです。
「この本を読んでほしい」「これくらいのレベルのドリルはできてほしい」など,価値観を押し付ける保護者様がいらっしゃいますが,お子様の勉強嫌い・自信喪失につながりますので,お子様の目線に降りてくるようにしてください。お子様の好きなこと・やりたいことを優先させる,お子様が今できることのより少し上のレベルの目標設定を心がけてください。
3.「なぜ」と問いかけ「考える習慣」を付けさせる
質問を投げかける,不思議がらせる,答えを教えないことが,子供の考える習慣に大きな影響を与えます。
勉強に限らず,親が「こうしなさい」「こうしたら?」と答え与えてしまったり,子供の代わりになんでもやってあげると,子供は自ら考えることをしなくなります。このような習慣は,子供を「指示待ち人間」にしてしまいます。勉強面において,自分で興味を持って取り組むことが難しくなるのはもちろん,将来的にも社会で活躍することができなくなってしまいます。
幼いころから子供を一人の人格として対等に付き合い,「なぜ?」と問いかけることが,子供の考える習慣を育みます。
4.勉強の「メリット」を教える
優秀な学生へのアンケート結果では,親が学歴社会の実情を子供に話して聞かせ,それがモチベーションになったという回答が多かったそうです。
大人にとっては当たり前でも、子どもには伝えないとわからないことがあるものです[......]子どもが将来やりたいことが出てきて、それが一見、学問とは無関係に思える分野でも、学歴が劣るために道を阻まれるケースが多いという現実も教えてあげたいものです。いつか目標が見つかったときに、選択肢を狭めないためにも勉強が大切なのだと。
教育事業に携わっていて,「うちの子はまだ小さいから,学歴社会の現実は教えたくない」「汚い話はしたくない」と考えていらっしゃる保護者様が意外と多いことに気付きました。
しかし,将来どれくらい学歴や教養が重要かが分からないため,勉強に時間を費やさなかったり,目の前の楽しいことを優先させてしまったり,将来に向けた時間の使い方ができないというデメリットは大きいです。大きくなってから,「あの時勉強しておけばよかった」「親は勉強が大事って教えてくれなかった」と後悔することになりかねません。
私自身,いかに学歴や教養が大切か,学歴がないために親がどれくらい不条理な思い・後悔をしてきたか,物心ついたときから言い聞かせられて育ってきました。それが学習に向かうエネルギーになっていた部分は大きいです。また,私の親は常に,子供の私を大人だと思って接してきた,厳しい現実についても包み隠さず何でも話してきたそうです。
人生の先輩として,親が子供に「学歴社会の現実」など,世の中の実情を話す意義は大きいと思います。
「効果的な勉強のさせ方」5~8は,次回【後編】にてご紹介します。
☆9月20日(火)~10月3日(月),「『一流の育て方』から学ぶ!お子様に学習習慣を付ける方法」セミナーを開催します。
実際にご自身の家庭教育を振り返り,今後の対策を立てていただいたり,参加者様同士で意見交換したり,アクティブな楽しい学びの場にしていくことができればと考えております。普段テラックのサービスをご受講されている方も,ご受講が初めての方も,ぜひお気軽にご参加いただければ幸いです。
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