人生において成功できるかどうかは,「才能」ではなく,「やり抜く力」の有無に左右されると言われています。『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(アンジェラ・ダックワース著/ダイヤモンド社)を読み解きながら,「やり抜く力」について考察を深めます。
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ご褒美をあげて良いとき・悪いとき
子供のやる気を出させるために,ご褒美を与えることもあるでしょう。過去記事で述べた通り,ご褒美作戦自体は悪いものではありません。
しかし,ご褒美作戦がうまくいかないときもあります。本書では次のような例が紹介されています。
弟はとても頭がよい子なのに、あるときから成績が下がり始めたという。やる気を出させるために、選手は最新モデルのXboxのゲーム機を買い、ラッピングされた状態のまま弟の部屋に置いた。「成績表がオールAだったら、ラッピングを破いてもいい」という取り決めだった。最初のうち、作戦は功を奏しているように見えたが、やがて弟はスランプに陥ってしまった。「こうなったら、Xboxをあげたほうがいいんでしょうか?」[……]「ていうか、オールAなんて無理なんじゃないの?」[……]
弟は頑張って勉強したのだから、ご褒美をあげたほうがいいのでしょうか。もともとの目標が高すぎたから、達成できなくてもご褒美をあげるべきなのでしょうか。
目標が達成できなければご褒美は与えない
「オールAだったら、ラッピングを破いてもいい」という当初の約束に反するので,ご褒美は与えないのが適切です。「目標が達成できなくても,ご褒美はもらえるんだ!」と子供の甘えを助長してしまいます。「目標達成できなくても,ご褒美はもらえるだろう」という考えになり,ご褒美作戦の意味がなくなってしまいます。
また「目標が高すぎた」というのは,後付けや言い訳にすぎません。目標が妥当どうかは,目標を設定する際に親子間で話し合っておく必要があります。すぐに達成できてしまう目標や頑張っても達成できない目標では,やる気が引き出せないので,「少し頑張ったら手が届く目標」を設定することが大切です。
目標達成の方法を一緒に考える
ご褒美を安易に与えてしまうのではなく,今回の失敗を次に生かせるよう,「どうすれば目標を達成できたか」について子供に考えさせましょう。
「まず、弟にただゲームをあげるなんて絶対にいけない。[……]君の弟に必要なのは指導だ。また以前のようによい成績を取るには、具体的になにをすればいいか、よくわかるように説明してくれる人が必要なんだ。計画が必要なんだよ![……]」
例えば次のような内容について,子供に考えさせたり,一緒に話し合ったりしてください。
- テストでどんな間違いが多かったか。どこが・なぜ出来なかったか。
- 計画,学習法など,どこに問題があったか。
- これからどのように変えていくか。
目標達成の方法が分かれば,次回に向け努力することができます。無事目標を達成できれば,お子様にご褒美を与えましょう。
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