変化が大きいこれからの社会では,単に与えられた課題がこなせたり,勉強ができたりするだけでは,食べていくことができません。したがって子供が多くの時間を過ごす家庭で,思考力や主体性を高める教育を実施していくことが大切です。効果的な家庭教育・学習について,『アクティブ・ラーニングが絶対成功する!小・中学校の家庭教育アイデアブック』をもとに考察を深めます。
アクティブ・ラーニングが絶対成功する! 小・中学校の家庭学習アイデアブック
- 作者: 田中博之
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 2017/01/20
友人とアクティブに交流しながら学ぶ
愛知県尾張旭市立東中学校の彦田泰輔氏は,生徒同士でノートを交換し,お互いにコメントを書く学習方法を提唱しています。友人と交流しながら学ぶアクティブ・ラーニングでは,次のような効果が見られます。
- 自分の取り組みを認めてもらえる。
- 友だちの優れたノートのやり方に触れ,新しい家庭学習の型を手に入れることができる。
- 友だちに見られるという相手意識をもつことで,内容が充実したり,「提出しなくては」という気持ちをもたせたりできる。
私の教室でも,生徒さん同士がアクティブに交流し学んでいます。例えば,自身がつくったロボットについて、「もっと良くしたいんだけどいいアイデアないかな?」とメモを残しておき,他の生徒さんに意見を求めます。
するとその後,教室を訪れた生徒さんは皆,率先してアイデアを出してくれます。ロボットをつくっているお友だちに意見が伝わるよう,思い思いの方法や表現で,メモにまとめます。
ロボット作成者である生徒さんは,皆の意見に目を通して,実際のロボットづくりに取り入れるものには✔を,今回取り入れないものには×を,自発的に付けました。双方向のコミュニケーションを意識できているなぁと,私自身とても感心しました。
ロボット作成者,アドバイスする側の生徒さんともに,大きな学びがありました。お互いに,ロボットづくりに対する新しい着想が得られ,自身のアイデアを言語化するよいトレーニングになったようです。
普段は作文に対する苦手意識が強い生徒さんも,「何とかして思いを伝えたい!」と積極的に取り組みに参加してくださいました。「あのロボットどうなった?」「あの子なんて言ってた?」など,生徒さんご自身が興味を持って自発的に取り組むことで,苦手な読み書きの壁も乗り越えられたようです。
また「友だちが週末に来るから,この作品見せたい!」と言って,教室でつくった作品を持ち帰り,「友だちがもっとこうした方がいいんじゃないって言ってた」「もうちょっと改造してみようかな」と,次の授業で追加の取り組みを実施する生徒さんも少なくありません。
このように友だち同士の交流を通じて,能動的で大きな学びが期待できます。ぜひご家庭でも,子ども一人に学習させるだけでなく,友だち同士の交流も意識してみてください。
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