これからの社会を生き抜くうえで,長期的な目標を掲げ,情熱を持って物事を「やり抜く」ことはとても大切です。『実践版GRIT(グリット)やり抜く力を手に入れる』(キャロライン・アダムス・ミラー著/すばる舎)をもとに,子どもの「やり抜く力」を高める家庭教育について考察を深めます。
「やり抜く力」を伸ばせない教育とは
子どもの「やり抜く力」を高める叱り方やほめ方については,以前ご紹介した通りです。
子どもの「やり抜く力」を高める上で,他に気を付けるべきことはあるのでしょうか。
過度に競争を避けるのはNG
本書では「やり抜く力」が育ちにくくなった社会的背景について,いくつか紹介されていますが,その一つとして「競争を避けること」が挙げられています。
- 子どもに競争させるのはかわいそうだ
- 子どもが自信をなくすので,他の子のよい記録は見せない
- できる子を見ると,打ちのめされてやる気をなくしてしまうから,競争は経験させない
アメリカの保護者の間で,上記のような考え方が広まったことが,「グリット(やり抜く力)」が低い世界が作られた一因であると本書では述べられています。結果が出ていないのに良しとしてしまうと,モチベーションだけでなく,脳にまで影響があるという実験結果も紹介されています。
競争を避けていては,子どもの「やり抜く力」は高まりません。確かに最初は,競争したり,負けたりすることが怖いかもしれません。しかし競争は,「どうやったらよりよくなるかな?」「次はどうしたらよいかな?」と考える良いきっかけとなります。子ども自身で目標を持って,粘り強く試行錯誤することは,物事を「やり抜く力」に繋がります。
弊社の教室でも,競争を怖がっていた生徒さんがいましたが,今では「今回のテストもバトルしよう!」と楽しみながら取り組むことができています。最初は「負けてしまった……」と落ち込むこともありましたが,「次はもっとちゃんと見直ししよう」「勉強時間が足りなかったかな」と冷静に振り返り,次に生かすことができるようになりました。
「目標を設定し努力する→結果を振り返る→次に生かす」というサイクルを自身で回す習慣が付き,物事を「やり抜く」ことができるようになった今,競争に勝てることも増えてきて,自信も付いてきたようです。
競争を一生避けて通ることはできません。ぜひ子どもが幼いうちから競争を経験させ,物事を「やり抜く力」を高めましょう。競争を怖がったときのフォローや,学びを次に生かすための声掛けを保護者様より実施いただければと思います。
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