『実践版GRIT(グリット)やり抜く力を手に入れる』から学ぶ家庭教育⑤~興味の対象を絞り込む

 これからの社会を生き抜くうえで,長期的な目標を掲げ,情熱を持って物事を「やり抜く」ことはとても大切です。『実践版GRIT(グリット)やり抜く力を手に入れる』(キャロライン・アダムス・ミラー著/すばる舎)をもとに,子どもの「やり抜く力」を高める家庭教育について考察を深めます。

実践版GRIT(グリット) やり抜く力を手に入れる

実践版GRIT(グリット) やり抜く力を手に入れる

  • 作者: キャロライン・アダムス・ミラー,宇野カオリ,藤原弘美
  • 出版社/メーカー: すばる舎
  • 発売日: 2018/02/21
  • メディア: 単行本
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子どもの興味の幅が広く,様々な活動や習い事をさせているご家庭を見かけます。子どもが色々なことに興味を持って取り組むことは,一見よいことのように思えます。「やり抜く力」を高めるという観点から見るとどうなのでしょうか。

情熱と興味は別物

「やり抜く力」を高めるには,情熱が必要です。興味は一過性のもに過ぎませんが,情熱は壁や困難を乗り越える原動力になります。

[……]「興味」は情熱とはまったく性質が異なる。グリットのスコアが低く、達成できない目標のことを悔やんでいるクライアントを見ると、多くのことに興味を持っていても、どの興味も本物の情熱に成長したためしがないということがよくある。そういう人たちは、新しいアイデアを探求するのが好きで、いわゆる新しい物好きの人たちだが、毎回、最後までやり通すのに必要な根気強さを見せることができないのだ。

情熱か興味かを見極める

子どもが様々なことを「やりたい!」と言った場合,その対象に抱いているのが情熱なのか,興味なのかを見極めましょう。そのためには,まずその対象に継続的に取り組んませ,基礎を一通り学んでもらうことが大切です。

[……]興味のあるものの中で一番関心の高いものを選んで、そのひとつを深めてみるとよい。[……]

例えば、あなたが楽器を少しかじってみたもののまだ本格的なレッスンを受けていないのなら、まずはレッスンを受けてみて、数ヵ月はやめずに懸命に取り組んでみよう。

[……]それが本当に自分を輝かせるものであるかどうかを確かめるためには、初期の模索段階を経る必要がある。

 興味の対象を絞り込んだほうがよい理由について,本書では次のように述べられています。

いつでも注意力の扉を全開にして多くのことに手を出していると、あまりに多くのエネルギーが消耗されてしまい、ひとつのことに十分費やせるだけのエネルギーを残すことができなくなってしまう。

複数の対象に対して本物の情熱を持っている場合,時間,金銭,体力的な問題がない限り,あえて絞り込む必要はないでしょう。

子どもが色々なことに興味を示し「やりたい!」と言うことは,「やりたいことがない」という状態より,はるかに喜ばしいことです。単なる興味のまま終わらせるのではなく,情熱を持って物事をやり遂げられるよう,必要に応じて取り組む対象を絞り込みましょう

 

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