よくないことだと思いつつ,つい子どもをガミガミ叱ってしまうとお悩みのお母さん,お父さんは多いことでしょう。『子どもをのばすおかあさんがやっているアンガーマネジメント』(石井実夏 著/彩図社)をもとに,親の感情コントロール方法や,子どもを伸ばす家庭教育について探っていきましょう。
子どもをいつも叱るのがよいとは限らない
子どもが問題行動を繰り返す場合,大人の気を引きたくてやっていることがあります。何度も注意しているのにいたずらをする,危険なことをする,約束を破る,一方的に自分の話ばかりする――このような子どもの行動は,大人に構ってほしいから引き起こされているのかもしれません。その場合,厳しく叱ってしまうと逆効果です。『子どもをのばすおかあさんがやっているアンガーマネジメント』では次のように述べられています。
「叱る」=行動が減る、というのは、大人が考える図式ですが、子どもの立場からすると、「叱る」=親(大人)の注目を浴びる、という図式になっているからです。
この図式で考えると、どんなに大人が厳しく叱っても、子どもから見るとそれは気を引きたい大人の注意を効果的に集める行為として成立し、行動は減るどころか増えてしまうことさえあります。
「できたこと」へ注目することが大事
このような場合,子どもの問題行動に対してあえて反応せず,適切な行動が出現するときに注意を向けることがカギであると本書では述べらています。「今回はちゃんとできたね」「1回でやめられたね」「時間を守れたね」と子どもの小さな成長を認め,ぜひ褒めるようにしましょう。
私の教室でも,課題に集中できずに遊んでしまったり,おしゃべりしてしまったり,親や先生の言うことを聞けなかったりする生徒さんがいました。その生徒さんには,自分の知っていること,できること,得意なことばかり話す傾向がありました。「認めてほしい」「褒めてほしい」という気持ちが強いように感じたため,保護者の方にご相談したところ,「確かに家で叱ってばかりです」「良い点は褒めるようにしてみます」と納得してくださいました。家庭教育を変えていただいたところ,その生徒さんの問題行動は収まりました。
問題行動を叱るだけでなく,子どもの成長したところ,良いところにも目を向けて,ぜひ褒めるようにしましょう。
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