『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』(アーリック・ボーザー著/英治出版)をもとに,効果的な学習法について探ります。
Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 作者: アーリック・ボーザー,月谷真紀
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本
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学習することの意味は「思考を形成すること」
学習することの意味とは何でしょうか。本書で取り上げられている次のような例をもとに考えてみましょう。
ある生徒は意味が分からずに数学の問題に次のように回答しました。
10×3=30
10×13=130
20×13=86
30×13=120
31×13=123
29×13=116
22×13=92
彼は数学をよく理解しておらず,このような間違った答えを導き出しました。解法のパターンが分からず,自分で計算手順をひねり出したようです。
著者は学習において,知識の丸暗記ではなく,基本的な概念やスキルを学び応用することこそが大切だと述べています。
スキルや知識を理解できていれば、状況が変わってもそのスキルや知識を使いこなせる。[……]どんな状況でも応用が利くのだ。
[……]私たちは意味を知るため、思考を形成するために学ぶ。とどのつまり知識の応用が可能なのは意味がわかってこそだ。
先の計算問題についても,意味がわかっていれば別のアプローチがとれます。
10×3=
10×13=
20×13=
30×13=
31×13=
29×13=
22×13=
あなたはすぐにパターンがあると気づき、13という数字を活用すれば一連の問題が解きやすくなるのを理解するだろう。
「正解」ではなく「考え方」を知ろうとすることが大切
「答えを教えて!」とすぐに正解を知ろうとする生徒さんがいます。私はいつも「答えではなく,なぜその答えになるかが大事だよ」「なぜ間違えたのか,正しい解き方はどうなのかをしっかり確認しよう」と声かけしています。
先の計算問題でも,正しい答えを知ったところで,解き方が分かっていなければ,次に同じような問題が出題されても,正解を導き出すことは難しいでしょう。「計算ミスだった!」「電卓で計算したら正しい答えが分かったよ!」で終わりにしてしまうのはもったいないと感じます。これでは,もちろん成績も上がりません。このような取り組み方は,著者が言うところの「学習」からも外れるでしょう。
テストの得点を上げるために,問題数をこなしても,根底にある考え方や規則が理解できていなければ,効果的な学習とは言えません。何を学ぶときも一つ一つの課題とじっくり向き合い,「なぜそうなるのか」「このことから何がわかるか」をぜひ考えるようにしましょう。
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