『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』(アーリック・ボーザー著/英治出版)をもとに,効果的な学習法について探ります。
Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 作者: アーリック・ボーザー,月谷真紀
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本
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知識を習得するには「能動的な学習」が大切
心理学者のリッチ・メイヤーは,人は自分の知識を能動的に形にする行為によって知識を習得するという様々な研究結果を発表しています。学習とは,脳を働かせる「活動」であると彼は述べています。
では「能動的な学習」とは具体的にどのような方法なのでしょうか。以下,よくある学習法を挙げてみましたが,それぞれ能動的な学習かどうかを考えてみてください。
1.蛍光ペンでキーワードをなぞる
2.繰り返し読む
3.内容を自分なりに要約する
4.自分で自分に問題を出す
能動的な学習は,上記3.4.のみです。それぞれについて詳しく見てみましょう。
1.蛍光ペンでキーワードをなぞる
能動的な学習とは言えません。マーカーを引くのは人が知識を構築するのに十分な行動ではないと本書では述べられています。ケント州立大学のジョン・ダンロスキーらの研究によって,実際に蛍光ペンでキーワードをなぞる学習法は効果がないと証明されています。
2.繰り返し読む
能動的な学習とは言えません。1.同様,頭を働かせる「活動」を促すには至らないと述べられています。ダンロスキーらの研究によって,繰り返し読む学習法の効果も限定的であることが証明されています。
3.内容を自分なりに要約する
4.自分で自分に問題を出す
能動的な学習であると言えます。内容を自分なりに要約したり,自分で自分に問題を出したりすると,知識の創造という手順を踏むので,情報を記憶しやすくなります。
「お手軽な学習法」の効果は薄い
「時間がないから」「手間がかかるから」という理由で,1.2.の学習法のみにとどまり,知識が定着しないと悩んでいる生徒さんが少なくありません。3.4.の「能動的学習法」は確かにひと手間かかりますが,1.2.の学習法で量をこなすよりも成果が出やすいです。
「教える職業に就いている者が能動的学習を行わないのは、倫理的に問題です」[……]「医者が効果の薄い薬を処方するようなものです。あなたが患者だったら、医療ミスだと考えるでしょう」
3.については親が子どもに「今日は何を勉強したの?」「説明してみて」と声かけしたり,4.については市販の一問一答集や赤シート教材を使用したりすることでも代替可能だと思います。ぜひご家庭でも能動的な学習法を取り入れてみてください。
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