「子どもには失敗させたくない」「つらい思いをさせたくない」それは、どの親も抱く自然な気持ちです。でも、その気持ちが少し行きすぎると、子どもの自立の芽を摘んでしまうことがあります。
いわゆる「過保護」――今回は、過保護に育てられた子どもに現れやすい特徴と、今からでもできる関わり方のヒントをご紹介します。
「過保護」ってどういうこと?
過保護とは、子どもが本来できることや、経験すべきことまで親が代わりにしてしまうことです。似た言葉に「過干渉」もありますが、こちらは子どもの行動や考えにまで口を出すこと。両方が重なると、子どもの自分で考えて動く力を育みにくくなります。
過保護に育てられた子に見られる特徴
① 自分で決められない
些細なことでも「どうしよう?」と親に判断をゆだねがち。自分の意見に自信が持てず、選択に強い不安を感じることがあります。
② 小さな失敗で落ち込む
親が先回りして失敗を避けてきたぶん、つまずいた経験が少なく、打たれ弱くなりやすい傾向があります。
③ 依存しやすい
友達や先生、時にはスマホやSNSにも依存しがち。一人で考えたり、耐えたりする力が育ちにくくなります。
④ 自己肯定感が低い
「ママに言われたから」「どうせ私なんか…」と、自分自身への信頼が育ちにくくなります。
⑤ 親の期待に縛られがち
「いい子でいなきゃ」「怒られないようにしなきゃ」と思いすぎて、自分の気持ちがわからなくなることも。
過保護に育てられてきた子の教科指導を担当したことがありますが、勉強に関しても「指示待ち」「質問できない」「自分で調べない」という特徴が見られます。
「これができるようになりたい!」「今日はこれをやりたい!」と自分で決めて、自発的に学習に取り組むことができません。先生が指示を出すのをじっと待っています。
質問する前に、いつも親から何でも教わってきたので、質問することができません。何かに疑問を抱くこともなく、自分が何がわからないかも、わからなくなってしまっているようです。
疑問に感じることがないので、もちろん自分で何かを調べるということもありません。先生から教わるのをただ待っています。このような受動的な姿勢だと、学習内容が身につかず、成績も伸び悩んでしまいます。
今日からできる3つのヒント
①見守る勇気を持つ
子どもが困っていると、つい手や口を出したくなります。でも、ぐっとこらえて見守ることも立派な愛情です。「どうする?」と聞いてみるだけで、子どもは考えるチャンスを得られます。
②小さな選択を任せてみる
今日の洋服、夕飯の献立、習い事の時間など、日常の中に選択肢をたくさん作ってあげましょう。「自分で決めた!」という体験が自信につながります。
③失敗は「学び」に
「そんなことしちゃダメでしょ!」ではなく、「やってみたんだね、次はどうする?」という声かけを意識してみてください。失敗を責めない関わり方が、挑戦する力を育てます。
おわりに
過保護は、親の「子どもを大切に思う気持ち」が少しずれて伝わってしまった形でもあります。
親が「信じて待つ」ことができたとき、子どもは「自分の力でやってみよう」と一歩を踏み出せるようになります。
「少し過保護だったかも…」と気づいたその日から、関わり方は変えられます。完璧を目指さなくて大丈夫。少しずつ変わっていきましょう。
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