『トヨタの問題解決』から教育を考える⑤「子供の『やりたい』を通す前にやるべきこと」

「やりたいこと」ではなく「やるべきこと」に取り組む

トヨタの問題解決』に次のような記述があります。

解決すべき問題テーマを選定する段階では,「やりたいこと」ではなく,「やるべきこと」に焦点を合わせるのが原則です。

家庭教育でも,「やりたいこと」ばかりを優先させ「やるべきこと」に取り組めていないケースが多く見られます。具体例を見ていきましょう。

家庭教育の例

子供が「やりたい」と言ったことを無条件に許可する家庭が少なくありません。「テレビを見たい」「ゲームをしたい」「部活動をしたい」「友達と遊びたい」と子供が言ったから,「意思を尊重して」その通りにさせます。勉強するはずの時間になったのに,声を掛けずに放置している/テレビを見たりゲームをすることを黙認している,将来の夢に繋がる習い事があるのに通わせない/部活動・友達と遊んでばかりいることを容認しているというものです。しかし,これでは理想の進路や将来の夢の実現確度は高まりません

「やるべきこと」に取り組めているかが重要

現状を改善する/現状を理想に近づけるためには,「やりたいこと」ばかりを優先させるのではなく,「やるべきこと」に取り組む必要があります。理想の進路を実現するために「勉強するべき」なのであれば,テレビやゲームよりも優先させるべきです。理想の職業に就くために「習い事に通うべき」なのであれば,部活動や友達と遊ぶことよりも優先させるべきです。「やるべきこと」に取り組まずして,理想を実現させることは困難です。

子供を「社会で活躍できる大人」にするために親が行うべきこと

「やるべきこと」の把握

まず,子供の将来の夢や理想の進路を実現するために「やるべきこと」が何なのかを明確にする必要があります。例えば,子供が将来,設計士になりたいのであれば,算数や数学を重点的に学習する必要があります。専門的に学ぶための進路・志望校が決まってくれば,相応の学力を付けなければなりません。その他,プログラミングや図面設計,モノ作り教室などに参加して,特に興味・適性のある分野を絞ったり,職業に対する理解を深めることも「やるべきこと」です。

子供と話し合い,時に親が情報収集をしながら,現状を理想に近づけるための「やるべきこと」を割り出してみてください

「やるべきこと」に取り組めていないときの声掛け

子供が「やりたいこと」ばかりを優先させ,「やるべきこと」を見失っている時には,親がアドバイスしてください。先ほどの例で説明すると,「運動部が楽しいから」「友達と遊びたいから」と言って必要な習い事に取り組まない,「テレビを見たいから」「ゲームをやりたいから」と言って勉強をしないという場合には,親が声掛けすべきです。

子供へ声掛けする際のポイント

子供を感情的に叱るのではなく,このまま「やりたいこと」を優先させるとどうなるか,「やるべきこと」に取り組むことの重要性について優しく諭す,論理的に説明することが大切です。恐怖・不安で抑え込んでも,子供は一時的に親の指示通りに動くだけで,自分で考えられるようにはなりません。考え方の道筋を言葉できちんと説明することによって,少しずつ子供自身で考えられるようになってきます。次第に視野が広がり,「やりたいこと」だけでなく「やるべきこと」も自然と見えてくるようになります。

目の前の誘惑や自身の感情に負けて「やりたいこと」ばかり優先させていては,問題を解決することはできません。逆に「やるべきこと」に目を向け,取り組む習慣を付ければ,子供は自身で人生を切り開いていくことができます。子供が将来,社会で活躍できるようになるために,家庭で子供の「やりたい」を無条件に聞き入れるのではなく,「やるべきこと」を考えさせる声掛けを実施してください。 

 

 

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