『ユダヤ式Why思考法―世界基準の考える力がつく34のトレーニング』(石角完爾著/日本能率協会マネジメントセンター)を参考に,子供の思考力の伸ばし方について考えてみたいと思います。
「なぜ?」と疑問を持つことの重要性とその理由
「なぜ?」という疑問がすべての思考の着火点であるが,日本人はあまり疑問を抱かず,議論をすることも少ないと本書では述べられています。また議論しない国からは革新が生まれず進歩がないため,議論しない国は衰退するとも記述されています。
日本では少子高齢化が進んでおり,今後,より少ない若年労働者数で国を支えていくことになります。日本という国単位で,従来の慣習・やり方を打破する,イノベーションを起こす必要が高まってきているのです。言われたことをその通りにやる=単純な労働しかできない人間は,日本社会において,今後ますます不要になります(海外の方が安価な労働力が得られることは周知の事実です)。逆に,頭を使って仕組み作りができる,独自の価値を発揮できる人財がより一層必要となります。このような人財が増えなければ,日本の将来は危ういかもしれません。
日本人が疑問を抱きにくい理由は教育にあった
日本人が「なぜ?」という疑問を抱きにくい理由の一つとして,教育が挙げられています。日本の学校では,黒板に書かれたことをそのままノートに写し,教科書の内容を丸暗記するのが「良い子の学習法」だと教えられます。そして子供が素朴で突拍子もない質問をした場合,親がまともに相手をしなかったり,先生も授業の邪魔をする「悪い子」というレッテルを貼ったりします。このような対応は子供の好奇心を摘み取ってしまうだけでなく,思考を封じ込めることになると本書では述べられています。
子供の思考を停止させる教育3パターン
思考停止状態を招くきっかけ・原因について,具体例を交えながら詳しく見ていきましょう。例えば,子供が「なぜ勉強しなけばならないの?」と尋ねてきたとします。子供の思考を停止させてしまう対応方法として,次の3つが挙げられます。
(1)子供の疑問に取り合わない
(2)「当たり前でしょ」「こういうものだ」と軽くあしらう
(3)「そんなこと聞かないの!」と叱る
「何をおかしなこと言ってるの!そんなこと聞くもんじゃありません!」と叱るなど,「疑問を持つこと=悪」という対応方法も問題です。どのようなテーマに対して子供が疑問を持ったとしても拒絶せず,掘り下げて考えさせることが重要です(本書では「なぜあの人の頭はツルツルなの?」と子供が質問する具体例が挙げられています。相手の身体的特徴であっても「なぜ?」という疑問を持つことは重要であると記述されています。)
子供に質問して考えを引き出すことが重要