『「学力」の経済学』から学ぶ教育⑨「学力テスト結果の責任は家庭にもある」

文部科学省が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」では,都道府県別順位が公表され,大きな話題となります。しかし『「学力」の経済学』著者は,学力テスト都道府県別順位は,学校教育の成果を測るうえでほとんど意味がないという見解を示しています。

学力を決めているのは何か

子どもの学力の50%が家庭や本人の要因で決定されていることや,遺伝の影響も大きい(中学3年生時点の子どもの学力の35%は遺伝によって説明できる)ことが研究で示されているそうです。親の年収や学歴,家族構成等の「家庭の資源」が学力に大きな影響を与える一方で,教員の数や質,課外活動や宿題等の「学校の資源」は,ほとんど統計的に優位な影響を与えなかったことも明らかになっています。

学力テストの順位が表すものは「家庭の資源」の県別順位

学力テストでは,家庭の資源による影響が考慮されておらず,また学校の資源はそれほど学力に影響を及ぼさないことから,学力テストの県別順位は,単に子どもの家庭の資源の県別順位を表しているにすぎない可能性もあると著者は指摘しています。

学力テスト県別順位に,親の年収や学歴が高そうな首都圏が上位入りしていない理由は,私立校テスト参加が少ないためだと著者は述べています。私立も含んだ調査である「全国統一小学生テスト」では,首都圏が上位になっています。

学力は家庭で決まる

子どもの学力に関して,『「学力」の経済学』著者は次のように述べています。

学力は学校だけでは決まりません。子どもが1日のうち少なくとも半分以上を過ごす家庭は,学校と同様に,ときには学校以上に大切な場所なのです。

家庭教育の重要性は,本ブログでもお伝えしている通りです。家庭教育は子供の将来に大きな影響を与えるにも関わらず,見過ごされがちです。一人でも多くの保護者様に家庭教育に関心を持ってもらいたい,家庭教育に関するノウハウを発信することで自律した人の育成に貢献したいという思いから,本ブログを立ち上げました。テラックの事業活動でも,保護者様教育はかなり重要視しています。

親が低学歴・低収入だからといって諦めない

子どもの学力に,家庭の資源が大きな影響を与えることは,先ほどご紹介した通りですが,家庭の資源が少ない,例えば親が低学歴や低年収であっても,諦める必要はありません。 親が効果的な声掛け法を学び,実践すれば,子どもの学力向上が期待できます

『「学力」の経済学』でも,低所得層の親に対して,家庭訪問を行い,子どもへの接し方をレクチャーしたところ,子どもの非認知能力が高まり,将来的に成功したという実験結果が紹介されていました。

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 個人的な分析ですが,「親の思考力が高い」結果として「親が高学歴あるいは高収入(または両方)」である,さらには「親が問題を正確に把握し,子供に対して効果的な接し方ができる」ため,「子供の学力が高い」という相関関係があるように思います。(詳細は以下の関連記事をご覧ください。)

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逆に高学歴・高収入でなくても,親自身が学習し,論理的思考力や問題解決力を高め,子供に対して効果的な接し方を実践できるようになれば,子供の非認知能力・認知能力は高まるはずです。テラックでは,お子様に対する効果的な接し方をレクチャーするところから,保護者様ご自身で対策を割り出せるようになるところまでサポートしていますが,やはり保護者様が変わるとお子様も目に見えて変わります。

『「学力」の経済学』で述べられている通り,講師と家庭が緊密に連絡を取りつつ,情報交換することも大切です。テラックでは,毎授業後,お子様の様子・理解度・思考の癖に関するフィードバックメールを保護者様にお送りしています。お子様の現状を知っていただく,講師と保護者様が連携してお子様を良い方向に導くことを重要視しているためです。

子供の将来のために,家庭でできることはたくさんあります。子供の学力を学校,親の学歴,金銭的問題,遺伝のせいにするのではなく,家庭で今できることを実践しましょう。

 

 

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