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『「学力」の経済学』から学ぶ教育③「褒める教育に潜む危険」

家庭教育 教育理論 教育者育成 書評

「子供に自信を持たせたいので,積極的に褒めるようにしています」「勉強しないときには特に褒めてやる気を出させます」とおっしゃる保護者様は少なくありません。そもそも「褒める教育は効果的なのか」という問いについて,今回は考えていきたいと思います。

むやみに子どもを褒めると学力低下を招く

『「学力」の経済学』では,褒める教育に関して,次のような実験結果が示されています。

1.自尊心は学力が高いことによる「結果」である

「子どもたちの自尊心を高めれば,学力や意欲が高まり,反社会的行為も未然に防げるのではないか」という仮説は認められませんでした。「自尊心が高まると学力が高まる」のではなく,学力が高いという「原因」が,自尊心が高いという「結果」をもたらしているとのことでした。褒めて子供の自尊心を高めれば,学力や意欲が高まるという因果関係は,そもそも成立しないということです。

2.自尊心を高める介入は,成績の悪い生徒に特に悪影響を与える

「あなたはやればできるのよ」という自尊心を高めるようなメッセージを受け取った生徒は,受け取らなかった生徒よりも成績が低くなり,とくにもともと学力の低い学生に大きな負の効果があったそうです。

実験結果を踏まえ,著者は次のように述べています。

つまり,悪い成績を取った学生に対して自尊心を高めるような介入を行うと,悪い成績を取ったという事実を反省する機会を奪うだけでなく,自分に対して根拠のない自信を持った人にしてしまうのです。

「あなたはやればできるのよ」などといって,むやみに子どもをほめると,実力の伴わないナルシストを育てることになりかねません

子供に現実を直視させよう

成績の悪い生徒は特に,現状把握や対策立案の力が弱いです。「なぜ今回のような結果になってしまったのか」「次からどうすれば良いか」など自分で考えることができないからこそ,成績が悪いのです。それなのに,周囲が「あなたはやればできるのよ」と言えば,ますます現実を直視しなくなり,現状把握・対策立案の力は身に付きません。

実際に事業活動を通じて,このような事態に陥っている保護者様・お子様を見てきました。一度,声掛け・思考の癖が付いてしまうと,直すのは本当に難しいです。

一人でも多くの保護者様に,成績が悪いから・勉強してほしいからと言って,むやみに子どもを褒めることは止めていただき,結果を振り返り,対策を立てさせる声掛けを実施してほしいです。

具体的な理由があったときは子供を褒めよう

子供を褒めてはいけないわけではなく,シチュエーションと褒め方が重要です。むやみやたらに褒めない・子供が努力をしたときのみ褒める,褒め方も能力ではなく努力を称賛するようにしましょう。

「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的な努力を褒めた場合,子どもの成績が伸びる一方,「あなたは頭がいいのね」ともともとの能力を称賛した場合は,成績が落ちることが実験結果で示されているそうです。

子どもが努力したとき,達成した内容を具体的に挙げることによって,子供のさらなる努力を引き出し,難しいことでも挑戦しようとする性格が形成されていくとのことです。

「褒めることは良いこと」という認識を改め,子どもを褒める前に一度立ち止まって考えてもらえれば幸いです。

 

 

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