『ビリギャル』から学ぶ自律教育①「やってあげるのではなくきっかけを与える」

親が良かれと思ってやっていることでも,子供のためになっていないことがあります。例えば子供の疑問に答えてあげるとき,ある方法では子供の思考力を高めることができますが,別の方法では子供の思考力を奪い,親への依存度を高めてしまいます。『ビリギャル』(『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』/坪田信貴著)で紹介されている理論や事例をもとに,子供を自律させるための接し方について考えていきましょう。

一方的に教えてあげるという姿勢はNG

『ビリギャル』著者の坪田先生は,生徒の「なぜ?」を大切にしており,次のような注意事項を述べています。

「なぜ?」「なぜ?」と生徒に聞かれていくと,教師側が知らない問題に案外早く到達するものです。そんな時,「うるさい!」とごまかしたり,「先生に恥をかかせたいのか?」と内心,怒りを覚えてはいけません。

教育業界に携わっていると,完璧な授業を行うことに重きを置いている先生と出会うことがあります。このような先生は「なぜ?」「なぜ?」という生徒の深掘りしていく質問を好みません。自分が準備してきていないことに対応しなければならず,不安を覚えるからです。

与えすぎることは,子供の自律化を阻む

授業を完璧にこなすことが目的化し,一方的に生徒に知識を伝えるやり方を続けている限り,生徒が自分で物事を解決する力は高まりません。詰め込み式受験勉強を望んでいる場合は,このようなやり方で良いのかもしれません。しかし学習を通じて,子供の自分で考え行動する力/自分で人生を切り開ける力を高めたい場合は,効果的ではありません。何でも先生が知識を与えてあげることで,子供が自分で調べて勉強できるようになる機会を奪っているからです。

答えを教えるのではなく,やり方を一緒に考える

子供の「なぜ?」「なぜ?」に対して,完璧な答えを準備しておく必要はありません。「その『なぜ?』の答えを知るためには,どうすれば良いと思う?」と子供に逆に質問するのです。

すると子供は知恵を絞って「資料集で調べようかな」「教科書の索引で引いてみようかな」「インターネットで検索してみようかな」「図書館に行ってみようかな」「(戦争中の話だから)おばあちゃんに聞くのがいいかな」など様々な答えを返してきてくれます。疑問を解消するために何をすればよいか,子供自身で考え始めるのです。

本思考法が習慣化すると,子供が一人で学習を進められるようになります。(他人から一方的に教わるよりも知識定着度も高く,効果的な学習方法であると言えます。)

さらに日常生活でも本思考法を実践できるようになると,常に「~をするためにはどうすればよいかな?」と子供自身で解決法を模索できるようになります。自分で考え行動する力が高まるのです。

家庭教育への応用

これまで述べてきたことは,塾や学校の授業だけでなく,家庭教育にも当てはめることができます。

子供の疑問を大切にする

子供の「なぜ?」という深掘りを,「めんどくさいなぁ」「忙しいんだから,そんなこと聞かないの!」などど押し込めてしまわないようにしましょう。

完璧な答えを返すこと・何とかしてあげることをゴールにしない

子供の疑問に対して,いつでも親が完璧な答えを用意する必要はありません。「親が子供の代わりにやってあげないと」という焦りや不安は禁物です。子供が自分で考え行動する機会を奪ってしまうからです。

質問を投げかけ,子供に考えさせるきっかけを与える

子供の疑問に対して「どうすればよいかな?」とまずは質問を投げ返し,子供に考えてもらってください。まずは子供に考えさせるきっかけを与えることが非常に重要です。

子供の様子を見ながら,サポートの量を調整する

もし子供が「分からない」と言った場合でも,答えを教えてしまうのではなく,「~を調べてみたら分かるかもしれないよ。一回やってみて」「例えば~という方法があるけどどう思う?一回やってみる?それとも他にもっと良い方法があるかな?」と最小限のアドバイスにとどめてください

この段階で親の考え方・方法を押し付けてしまうと,あまり効果がありません。子供がまた「分からない」と言った場合には,もう少し詳しくアドバイスするようにします。このように子供の様子を見ながらサポートの量を調整すると,やってあげ過ぎを防ぐことができます。

以上,「やってあげるのではなくきっかけを与える」という自律教育法についてご紹介しました。家庭教育を振り返り,ぜひ実践してみてください。

 

 

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