『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』(アーリック・ボーザー著/英治出版)をもとに,効果的な学習法について探ります。
Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 作者: アーリック・ボーザー,月谷真紀
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本
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学習における情動の重要性
どのような感情で学習に取り組むかは,とても大切です。「どうせ私にはできない」「またきっとミスをしてしまう」「間違えたら叱られる……」ーー。このような気持ちで学習に取り組んでも,知識やスキルが身に付きにくいでしょう。
学習と感情の関連性について,『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』では次のように述べられています。
[……]強い感情によって学習が妨げられる場合もあるし、情緒が不安定だとスキルが身につかない。ストレスを感じていると思考が落ち着かない。情動によって学習の成果が落ちてしまう場合があることを示す研究は多数ある。
では,どのような感情の状態を目指すのが良いのでしょうか。そのためには何をすればいいのでしょうか。
自己効力感を高めることが大切
学習で成果を出すためには,「このタスクならやり遂げられる」「これからやろうとしていることで良い成果を達成できる」という自己効力感を持つことが大切です。
あるタスクをやりとげられると信じていれば、努力を注ぎやすい。自己効力感が大きいほど、目標を達成し、結果に満足する確率も高まる。自己効力感が集中力に火をつける点も重要だ。目標にいっそう意識を絞り込み、気を散らすものにもうまく対処できるようになる。
自己効力感を養う上で,イメージトレーニングが効果的です。本書では,スポーツ選手がイメージトレーニングを行うことで自信を付け,大会でも良い結果を残せるようになったという例が挙げられています。
イメージトレーニングのおかげで、テイラーは自己効力感を獲得した。これは自分の能力への信頼感、きっとうまくいくという気持ちであり、学習に際しての情動の気まぐれに対処するうえで非常に重要だ。つまり、感情を管理する手段となる。
私自身の幼いころを振り返ると,定期テストや入試,検定試験,習い事の発表会などについて,やはり日常的にイメージトレーニングを行っていました。日々の学習や練習のモチベーションを保つことができ,本番でも脳内のシュミレーションを実行に移すだけでよいので,緊張がほぐれ,実力を出し切ることができました。
教室に通ってくれている生徒さんにも,次のようなことをおすすめしています。
- 志望校に行ってみて(難しい場合はインターネットで写真や授業内容などを調べて),実際にそこで学んでいる将来の自分を想像してみる
- テスト本番で落ち着いてすらすら問題を解いている自分を想像してみる
- 半年後,1年後に苦手分野を克服している自分を想像してみる
このような声かけをすると,皆さん,目をキラキラさせて想像を膨らましてくれます。「うわ~楽しそう!」「できそう!」「もっと頑張れそう!」と学習に取り組む姿勢も変わります。
なるべく具体的にイメージして,「きっとできる!」と信じることが大事です。いくら現状が厳しくても,「このままじゃ試験に落ちるわよ」「そんな学校,受かるわけないじゃない」と可能性を否定するのではなく,「この学校に行けたらおもしろそうだね~」「こんな授業もあるんだって!」「入試にはこんな問題が出るらしいよ」と子どもが具体的にイメージできるように導きましょう。きっと前向きに努力する姿勢を引き出せるはずです。
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