これからの社会を生き抜くうえで,長期的な目標を掲げ,情熱を持って物事を「やり抜く」ことはとても大切です。『実践版GRIT(グリット)やり抜く力を手に入れる』(キャロライン・アダムス・ミラー著/すばる舎)をもとに,子どもの「やり抜く力」を高める家庭教育について考察を深めます。

- 作者: キャロライン・アダムス・ミラー,宇野カオリ,藤原弘美
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2018/02/21
- メディア: 単行本
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目標設定の重要性
本物のグリット(やり抜く力)を持つ人は,高い目標を設定する特徴があると本書では述べられています。目標は次のような機能を果たすそうです。
① 目標には、私たちの注意力(認知面・行動面の両方)を、フォーカスすべき重要な事柄に向ける働きがある。[……]
② 目標はエネルギー源となり、高い目標ほど大きなエネルギーが引き出される。[……]
③ 目標は粘り強さを引き出し、特に高い目標ほど、努力を長引かせことができる。[……]
④ 目標はその人特有のスキルやリソースの発見につながると同時に、自分の抱える課題につながる新たな戦略を見出し、知っておくべき知識を見極めることにもつながる。[……]
子どもに目標を立てさせる
子どもの「やり抜く力」を高めるために,ご家庭で目標を立てることを習慣化しましょう。具体的には,次のような取り組みがおすすめです。
(1)1日の学習目標を立てる
学習に取り組む前に,その日の目標を決めましょう。「今日は~ページまで進める」「8割は正解する」など,予め学習目標を設定することで,努力の方向性が明確になり,成果が上がりやすくなります。
(2)少し頑張れば手の届く目標を立てる
子どものモチベーションが高く,高い目標設定を望む場合は別として,勉強嫌いの子どもには,少し頑張れば達成できる範囲内の目標を立てさせましょう。最初から高すぎる目標を設定すると,意欲が湧かないかもしれません。小さな目標達成,成功体験を積み重ねて,少しずつ目標を高くしていき,子どものやる気を引き出しましょう。
(3)中期・長期の学習目標を立てる
「3ヵ月後にどうなっていたい?」「6ヵ月後はここまでできているといいね」など,中期・長期目標を設定することも大切です。中期・長期目標から逆算して,1ヵ月,1週間,1日の学習目標や計画を立てることで,目的意識がより明確になり,学習効果が期待できるでしょう。
(4)目標を紙に書く
目標を忘れてしまわないようにするため,きちんと意識するために,ぜひ紙に書いておきましょう。本書では,目標を書くことの効果について,次のように述べられています。
目標を書きだすことで目標へのコミットメントが高まることは、科学的に証明されている。[……]粘り強さを引き出すと同時に、目標に向かう思考を促し、相容れない目標を明確にする効果もあることがわかっている。
学習面を例に挙げてご紹介しましたが,生活面やスポーツや音楽などの習い事も,同様の方法で取り組んでいただくことができます。子どもの「やり抜く力」を高めるために,ぜひ目標設定の取り組みを家庭教育に取り入れてみてください。
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