『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』(アーリック・ボーザー著/英治出版)をもとに,効果的な学習法について探ります。

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 作者: アーリック・ボーザー,月谷真紀
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本
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学習の意味を見出すとモチベーションや学習効果が上がる
誰しも苦手な教科があったり,「こんなこと勉強して将来何の役に立つの!?」と放棄したくなったりすることもあるでしょう。
『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』では,自分の生活と学習内容の関わりを意識することで,モチベーションが大幅に上がり,学習効果が高まるという実験結果が示されています。
ヴァージニア大学の心理学教授クリス・フルマンは学生たちに統計学を教えていましたが,「統計学はつまらない」「自分の生活には何の関連性も価値もない」という学生たちの泣き言に悩まされていました。関心を呼び覚ますために,彼は次にようなお題を出し,学生たちに短いエッセイを書いてもらいました。
自分の生活で統計学を使うシーンを想像できますか?
看護師、営業マン、管理職という職業に就いて統計学を使う自分を想像できますか?
このような取り組みを行ったところ,学生たちの勉強に対するモチベーションは大幅に上がり,成績がCからBへと一段階上がった学生もいたそうです。
要するに、統計学が自分の将来の職業、趣味、いつか築く家庭にとってなぜ大事かを説明する行為によって、学習のレベルが一足飛びに向上したのである。[……]ある対象について学ぶ意欲を持つには、その対象が自分に関連性があると思わなければならない、とフルマンは言った。
意味を自分で見つけることが大事
「価値があるという感覚を創り出す方法はたくさんある」とフルマン氏は言います。
企業に就職したらこんな形で必要になるかもしれない
私生活でこんなふうにスキルが役立ちそう
スキルが身につくこと自体が楽しい
高校生に科学を学ぶ意義について考えてもらったとき,様々な意見が出たそうです。
「こういう理由で大事」「こんな価値がある」と他人から価値を押し付けられると逆効果になることもあるため,学習者本人が学習の意味を見出すことが大切だとフルマン氏は述べます。
- 文章を書く力は将来,好きなことを発信するために必要になるもしれない
- 苦手な数学をコツコツ頑張って克服できること自体がすばらしい
- 社会は将来,海外留学したとき,現地の人と話す際に知っておくといいかもしれない
無理やり子どもに勉強させるのではなく,子どもの好きなこと・将来やりたいことなどと結び付けて,学習することの意味そのものについて話し合う機会をぜひ設けてみてください。
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