『「学力」の経済学』から学ぶ教育④「テレビやゲームを止めない子供への効果的な対処法」

「子供がテレビやゲームばかりして困っている」という保護者様は少なくありません。今回は,テレビやゲームを止めない子供にどのように接するのが効果的なのか,考えていきたいと思います。

テレビやゲームを止めさせても学習時間は増えない

『「学力」の経済学』によると,テレビやゲームを止めさせたところで,子供の学習時間がほとんど増えないということが,実験結果で示されているそうです。著者は次のように述べています。

テレビやゲームの時間を制限しても,子どもは自動的に机に向かって勉強するようにはなりません。子どもが勉強に取り組む姿勢が変わらないのに,テレビやゲームの時間を制限したら,たぶんそれに類似する他のこと―スマホでチャットする,あるいはインターネットで動画を観るなど―に時間を費やすだけです。

テレビやゲームを止めさせても,親の目の前でやらなくなるだけで,自分の部屋にこもって,他のことをして遊ぶ可能性も高いでしょう。

「勉強しなさい」と言うのは効果がない

テレビやゲームを止めさせるのに意味がないならば,「勉強しなさい」と言うのはどうでしょうか。結論から言うと,「勉強しなさい」という声掛けも,子供の学習時間増加に貢献しないことが明らかになっています。

「勉強を見てあげる」「勉強する時間を決めて守らせる」のは効果的

実験結果によると,親が「勉強を見てあげる」「勉強する時間を決めて守らせる」場合,子供の学習時間は増加したそうです。世話をするのが親ではなく,祖父母や兄弟,親戚などの同居者でも効果があり,学校や塾,家庭教師の先生なども含む身近な人でも良いとのことです。

学習時間を増やすことが目的になってはいけない

注意しなければならないのは,これまでご紹介した実験は全て,子供への接し方・声掛けと学習時間との相関性に着目しており,学力や成績との相関性ではないという点です。学習時間が増加しても,子供自身にやる気がなく,集中して取り組めていなければ,学習内容が身に付かず,成果は期待できません。「学習時間を増やす」「子供に勉強をさせる」ことを目的にするのではなく,子供自身のモチベーション・問題意識,学習に対する興味・関心を高め,「学習効果を得る」ことが大切ではないでしょうか。

また「勉強を見てあげる」という対策は,子供が小さいうちは良いですが,年齢が上がるにつれ,周囲は徐々に手を離していく必要があります。そうしなければ,周りのサポートがなければ,学習できない子供に育ってしまうためです。社会に出たとき,いわゆる「指示待ち族」になってしまいます。大人が勉強を見てあげるのは小学校低学年までにして,次第に子供に任せる範囲を増やしていき,中学に入るまでに子供自身で学習できるようになるのが理想的です。

 

 

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