「どうすれば子供の才能を引き出すことができるのか」――。親ならば誰しも気になるテーマだと思います。『最高の仕事ができる幸せな職場』(ロン・フリードマン/日経BP社)をもとに,子供の能力を伸ばす家庭教育や環境について考えていきましょう。
失敗を認める環境を作る
著者は,従業員の創造性を高める上で,失敗が非常に重要であると述べています。
成功者も成功するまでチャレンジしただけであり,無数の失敗を繰り返しています。失敗の原因を学び,改善していくことで,次第に成功の確率が上がっていきます。成功するまで試行錯誤を繰り返すことが,遠回りなように見えて,実は成功への一番の近道なのです。
失敗を責める環境下では,失敗を恐れてチャレンジしなくなったり,失敗を隠ぺいしたりします。これではイノベーションは起こらず,失敗の根本原因が改善されないため,成功に近づいていきません。
子供の失敗を責めないようにしよう
教育においても,子供の失敗を責めことは効果的ではありません。失敗を回避するために出来る範囲でしか物事に取り組まない,チャレンジ精神が乏しい性格になってしまいます。失敗から目を背けるため,失敗の根本原因を分析して改善することができず,同じ失敗を繰り返すようになります。子供の失敗を責めると,思考や行動が停滞してしまい,改善や前進が難しくなってしまうのです。
子供の失敗をぜひ奨励するようにしましょう。以下の3点に気を付けてみてください。
1.結果だけではなく挑戦に報いる
――創造力が発揮される職場にしたい?そうであれば,従業員がときにはリスクを負って新しい手法に挑戦するのを奨励しよう。成功だけが称えられると,従業員は保守的な手法に固執し,過去の成功事例にこだわるようになる。リスクを負うことを促すには,挑戦を奨励して称える姿勢を明確に示すことだ。
子供が新しい方法や物事にチャレンジすること自体をほめましょう。「そんなの非効率だ!」「こっちの方が上手くいくに決まっている」と阻止したり,親のやり方を押し付けたりしないよう注意しましょう。子供自身で考え,新しいものを試し,コツを掴んだり,失敗から学んだりすることに価値があります。
2.失敗からチャンスを見つける
――努力が失敗に終わった時には,すぐに次の課題に没頭したくなるだろう。だが,すぐれた結果を出す人は,失敗には改善のための重要な手がかりがあることを知っている。〔......〕
子供が失敗したときは,責める代わりに,「なぜ失敗したのか」「どこが悪かったのか」「これからどうするか」を考えてもらうようにしましょう。原因を分析して取り除かなければ,同じ失敗を繰り返してしまうためです。失敗から学び,成功に近づけるよう,失敗から学ぶことの重要性とその手法を子供に伝えましょう。
3.ロングゲームを戦う
――失敗したい人などいない。また,管理者としては,仕事が頓挫するのを許すのは確かにリスクである。だが,成功している企業は,理に適った失敗をする余地を作ることが,長い目で見れば大きな利益を生む投資だと知っている。グーグルのように考えよう。あるいはグレツキーやジョブズのように。重要なのは,現在の業績だけではない。5年後の業績も重要である。
子供がテストで失敗したり,忘れ物をしたり,遅刻したりするのは,親として見ていられないかもしれません。手や口を出して,子供の失敗を防いだとしましょう。短期的に見れば,先生からの評価も落ちず,成績表にも影響しないので,メリットがあります。長期的に考えるとどうでしょうか。子供を親のサポートがなければ何もできない状態にしてししまっているので,5年後,10年後は非常に心配です。子供が社会に出たときのことを考えると,早いうちから失敗を経験させ,何でも子供自身でできるようにしておいた方が良いのです。
事業活動を通して,子供の失敗を責めたり,防いだりしている親が非常に多いと感じています。すなわち親に成長機会を奪われている子供が多いのです。子供の失敗を奨励する家庭および失敗から学び成長する子供が増えてほしいと思います。
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