「プログラミング先進国の子供たちと競える状態になるにはどうすればいいですか?」「海外で飛び級できるくらい勉強ができるようにするには,子供に何をさせればいいですか」という類の質問を受けることがあります。皆さんも一度はこのような疑問を持ったことがあるかもしれません。今回は,このような問いに対する私の考えをご紹介します。
追加学習は逆効果
個々の子供がそれぞれのペースで成長した結果として,「先の学年の子供たちと競える,飛び級できる状態」になります。「先の学年の子供たちと競える状態」にするための特別な教育法は存在しません。追加学習も不要です。むしろ,やらせすぎると,途中で嫌になってしまったり,長続きしなかったと逆効果になってしまうので注意しましょう。
その時々の子供の状態に合った負荷を掛けて,一つずつ困難や壁を乗り越えてもらうことが,遠回りなようでいて,実は一番の近道です。
戦う土俵や戦い方を考えられるようになることが大切
競争社会で,不必要な競争を避け,上手く勝ち抜いていけるようになることが何より大切です。そのためには,様々な経験や学習をさせ,「自分がどこで戦うのか」「どうすれば有利か」を子供自身で考えられるような教育を行いましょう。
※ランチェスター戦略の考え方と類似しています。
(例)英語が苦手だから得意な数学で戦う
→「英語が出来る人」は多く存在するため,あえてそこで戦わない
(もちろん,ある程度は自身で出来る必要があります)
→得意な数学で+αの価値を自身に付け,皆と違う土俵で戦う
プログラミング技術ではなく発明品アイデアで優位に立つ
→「プログラミングが出来る人」は多く存在するため,あえてそこで戦わない
(もちろん,ある程度は自身で出来る必要があります)
→IoTやロボット技術など,幅広い視野を養い,
自身に付加価値を付けることで,皆と違う土俵で戦う
様々な経験を通じて,自身の適性を知り,戦う土俵や戦い方を考えられる人こそ,将来社会で活躍することができます。
本来,「プログラミングができる」「勉強ができる」というのは,社会で活躍するための手段であったはずです。しかし,「プログラミングができるように」「勉強ができるように」と手段が目的化してしまうと,カリキュラムや学習法を子供に押し付けがちになります。すると子供は与えられた課題をこなすだけで,戦う土俵や戦い方を考えられるようになりません。
これからの社会で活躍できる人財は,自分の頭で「勝ち方」を考えられる人です。ぜひ保護者様もそのことを念頭に置いて,家庭教育を実施してほしいです。
【関連記事】