何か目標を達成すると,燃え尽きてしまう子どもがいます。例えば,志望校に合格した途端,勉強しなくなるケースなどです。途中で燃え尽きてしまう子どもと,最後まで物事をやり抜ける子どもは何が違うのでしょうか。具体例をもとに考えてみましょう。
Aくんは長年の努力の末,東京大学に合格しました。「これまでの努力が実った!本当に頑張ってきたもんな~」「晴れてぼくも東大生かぁ!長年の夢が叶ったな!」とAくんはとても喜びました。
しかし,Aくんは次第に大学の授業に来なくなりました。サークル活動やテレビゲームに明け暮れ,授業に行くのが面倒くさくなってしまったのです。結局,単位が足りず,留年を繰り返し,退学してしまいました。Aくんは,やりたいことや就きたい仕事もないので,就職活動もせず,いまだにニートです。
Aくんのように,東大に合格するためだけに頑張ってきた場合,合格後に燃え尽きてしまいます。「東大に入ること」がAくんの最終ゴールで,それ以上「大きな目的」がなかったためです。
一方,Bさんは東大に入った後も,勉学に励みます。Bさんは常々,「自分の能力を他人のために生かしたい」と考えてきました。将来は官僚になり,日本をより良くしたいと考え,東京大学を志望したのです。東大入学後も,様々な授業や勉強会に興味を持って参加し,見聞を広めています。
Bさんの場合,「東大に入ること」はあくまで通過点でしかありません。「官僚になって人の役に立ちたい」という「大きな目的」を持っているためです。したがって,さらに先を目指して、努力し続けることができるのです。
通過点で燃え尽き症候群に陥り,ドロップアウトしてしまわないためには,「大きな目的」を持つことが大切です。「大きな目的」があれば,一時的にモチベーションが下がることがあっても,達成に向けて継続的に努力することができるでしょう。
志望校や検定試験に合格することをゴールにするのではなく,「何のためにその学校に行くか」「何のためにその検定試験が必要なのか」という「大きな目的」を子どもに描いてもらうことが大切です。「将来どうなりたいの?」「そのためには,この学校に行った方がいいね」「こういう力も必要だね」など,子どもに「大きな目的」を考えさせる声掛けをぜひ実施してください。
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