子どもの悪い成績を見て,「こんな成績じゃ上の学年に上がれないよ!」「こんな問題も解けなかったの!?」「恥ずかしい……」と感情的な言葉がつい口から出てしまう……というお悩みを多く耳にします。このような言葉を投げかけることで,子どもに危機感を持ってもらえるのでは?とお考えの保護者の方もいるようです。果たしてこのような言葉がけは効果的なのでしょうか。
脅しても子どものやる気は引き出せない
「こんな成績じゃ上の学年に上がれないよ!」「こんな問題も解けなかったの!?」と言われて,「悔しい!がんばるぞ!」と闘志を燃やす子も確かにいるかもしれません。しかし私の経験上,「どうせ,ぼく・私は勉強ができないもん」「勉強なんか嫌いだ」「頑張っても無駄だ」と後ろ向きになってしまう子どもの方が多いと感じます。
また,日常的にこのような頭ごなしの発言をしていると,子どもとの信頼関係を築くことが難しくなります。親子間の信頼関係がないと,子ども自身で目標を持ち,自己実現しようという気持ちがなかなか起こりません。
「親に相談なんかできない」「大人は分かってくれない」と問題を溜め込み,非行に走りやすくなる可能性もあるので注意しましょう。
子どもに問題意識を持たせる
感情的な言葉を投げかけるのではなく,「この成績についてどう思う?」とまずは子どもに感想を聞いてみましょう。「悔しかった」「この部分は頑張ったのにできなかった」「勉強が足りなかった」など,子どもの率直な意見を聞くことが大切です。十分に反省しているのに,「こんな成績じゃ上の学年に上がれないよ!」「こんな問題も解けなかったの!?」などという言葉を投げかけてしまうと,やる気がそがれてしまいますので気を付けましょう。
「特に何も思わない」「まぁまぁできた!」という場合は,「今回の目標得点は何点だったかな?」「~中学校に入りたいんだよね。だったら何点くらい必要かな?」と目標を思い出してもらい(あらかじめ目標を立てておくことが大切です),理想と現状の差に気づき,問題意識を持つことができるように導きましょう。
努力した部分については認める
たとえ成績が悪かったとしても,「前よりは勉強時間を確保できていたよね」「この問題はできるようになったんだね」と努力した点や成長した点についてはほめるようにしましょう。そうすれば,「お父さん,お母さんはしっかりと頑張りを見ていてくれるんだ!」と子どもはますます努力できるようになります。
今後の対策を立てる
「今回なぜこんな成績になったのかな?」「次からどうすればいいかな?」「せっかく頑張って勉強しているから,もっと身に付くようなやり方を探そうよ!」と原因や対策について話し合い,次に生かしましょう。
「失敗は悪いことじゃないよ」「失敗しても大丈夫だけど,次に生かして,同じ失敗を繰り返さないことが大事だよ」と,失敗を次に生かすことの重要性についても,ぜひ子どもに伝えましょう。
このような言葉がけをすれば,子どもは問題意識を持ちつつも,悲観的になりすぎることなく,「次はがんばるぞ!」と前向きに学習に取り組むことができるでしょう。
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