『Learn Better』から学ぶ効果的な学習法③~仲間とともに学習する

『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』(アーリック・ボーザー著/英治出版)をもとに,効果的な学習法について探ります。

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

 

仲間がいるとモチベーションが上がる

仲間がいると学習に対するモチベーションが上がり,目標に向かって努力を続ける確率が高くなると著者は述べています。

[……]仲間、チーム、同族、サークルからの同調圧力の良い面で、学習に打ち込む者が一人いると、他の人間も学習に打ち込むようになる。私たちは仲間外れとか落ちこぼれとかなまけ者になりたくないため、モチベーションと意味が集団内に広まる。意欲は人から人へと移ることがある。[……]「知的努力には伝染性がある」のだ。

私の教室でも,モチベーションが低い生徒さんを,あえてモチベーションの高い生徒さんと一緒にすることがありますが,よい刺激を受けるようです。「あの子は真面目にやってるから,自分もやらないと...…」「早く自分もあの子に追いつきたいな!」と感じるようです。

仲間と一緒にいなくてもよい

仲間と一緒に学習をすることは確かに効果的ですが,たとえ距離が離れていても同等の効果を得ることはできます。たとえば,一緒の授業を受けなくても,学習状況やテスト結果を共有すれば,仲間意識や競争心が芽生えます。

「○○くん,宿題をきちんとやってきてくれるから,もう次の章の勉強に入ったよ」

「この小テスト,○○くんもやったものだから,チャレンジしてみない?」

「○○くんは80点だったよ」

このように伝えると,「負けたくない!」「やってみようかな!」とスイッチが入る生徒さんが多いものです。

「ぼくは90点取るから!」「○○くんに伝えておいて!」と言って,学習に励むようになる子もいます。このように目標について公に宣言することも,努力の可能性を高めます

友達に「これをやる」と宣言すると、目標に向かって努力を続ける確率が高くなる。フェイスブックやツイッターで、例えば「不動産ライセンス取得のための勉強をする」と宣言すると、その公約を達成しやすい。自分が属する集団に対して誓ったことを守ろうとするからだ。

友達ではなく,家族内で宣言してもらうのもよいでしょう。

いつも周りを気にしすぎるのはよくありませんが,子どもが怠けているな,サボっているなと感じたら,このような方法を試してみるのもよいかもしれません。

 

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『Learn Better』から学ぶ効果的な学習法②~学習の意味を自ら発見する

『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』(アーリック・ボーザー著/英治出版)をもとに,効果的な学習法について探ります。

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

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学習の意味を見出すとモチベーションや学習効果が上がる

誰しも苦手な教科があったり,「こんなこと勉強して将来何の役に立つの!?」と放棄したくなったりすることもあるでしょう。

『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』では,自分の生活と学習内容の関わりを意識することで,モチベーションが大幅に上がり,学習効果が高まるという実験結果が示されています。

ヴァージニア大学の心理学教授クリス・フルマンは学生たちに統計学を教えていましたが,「統計学はつまらない」「自分の生活には何の関連性も価値もない」という学生たちの泣き言に悩まされていました。関心を呼び覚ますために,彼は次にようなお題を出し,学生たちに短いエッセイを書いてもらいました。

自分の生活で統計学を使うシーンを想像できますか?

看護師、営業マン、管理職という職業に就いて統計学を使う自分を想像できますか?

このような取り組みを行ったところ,学生たちの勉強に対するモチベーションは大幅に上がり,成績がCからBへと一段階上がった学生もいたそうです。

要するに、統計学が自分の将来の職業、趣味、いつか築く家庭にとってなぜ大事かを説明する行為によって、学習のレベルが一足飛びに向上したのである。[……]ある対象について学ぶ意欲を持つには、その対象が自分に関連性があると思わなければならない、とフルマンは言った。

意味を自分で見つけることが大事

「価値があるという感覚を創り出す方法はたくさんある」とフルマン氏は言います。

企業に就職したらこんな形で必要になるかもしれない

私生活でこんなふうにスキルが役立ちそう

スキルが身につくこと自体が楽しい

高校生に科学を学ぶ意義について考えてもらったとき,様々な意見が出たそうです。

「こういう理由で大事」「こんな価値がある」と他人から価値を押し付けられると逆効果になることもあるため,学習者本人が学習の意味を見出すことが大切だとフルマン氏は述べます。

  • 文章を書く力は将来,好きなことを発信するために必要になるもしれない
  • 苦手な数学をコツコツ頑張って克服できること自体がすばらしい
  • 社会は将来,海外留学したとき,現地の人と話す際に知っておくといいかもしれない

無理やり子どもに勉強させるのではなく,子どもの好きなこと・将来やりたいことなどと結び付けて,学習することの意味そのものについて話し合う機会をぜひ設けてみてください。

 

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『Learn Better』から学ぶ効果的な学習法①~「勉強が苦手」を克服するためには?

『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』(アーリック・ボーザー著/英治出版)をもとに,効果的な学習法について探ります。

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

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「勉強が苦手」とは?

「うちの子は勉強が苦手で……」「理解が遅くて困っています」「集中力が続かず,覚えたと思ってもすぐに忘れてしまうんです」ーー。私のもとには,このようなお悩みが保護者の方から多く寄せられます。

本書の著者であるアーリック・ボーザー氏も,幼稚園のころから勉強が苦手で,授業中にカンニングをしたり,勉強をサボったり,様々な悪事を繰り返したそうです。しかし何人かの先生の助けにより,危機的な状況を脱したといいます。

今振り返ると、どうやら私は学習のしかたがわかっていなかったらしい。自分の思考をどう扱っていいかがわからなかった。自問したり、目標を設定したりすることができず、そもそも何かを知るということの意味からしてわかっていなかった。

「勉強が苦手」というのは,才能や努力が足りないのではなく,学習の仕方が分かっていないだけなのです。

学習方法を身に付けることの重要性

基礎的な学習方法を身に付けると,著者は勉強に自信が付き,成績も伸び始めたそうです。

「自分は本当にこれがわかっているのか?」、「学習していることの根底にある理屈を理解しているか?」といった質問を自分にするようになった。また、学習のスピードは人によって違いがあり、自分は同級生よりも努力が必要だということも受け入れられるようになった。長年のうちに中力を高める方法も見つかり、静かな環境づくりに熱心に取り組むようになった。

学習面で自信が付くと,生徒会活動や部活動にも関心が広がり,名門大学にも合格することができたそうです。

効果的な学習法を身に付けるということは,受験を突破するためだけではなく,子どもの自信を高め,物事を乗り越え,目標を達成する力を養うためにも重要です。無理やり子どもに勉強させるのではなく,「今日の勉強はどうだった?」「どんなことが分かったか教えて?」「どんな方法で覚えたの?」など,子どもと話し合いながら,効果的な学習方法を探っていきましょう。

 

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子育てでイライラしないためには,あなたの時間を充実させることも大切

これまで,子どもへの効果的な言葉がけや接し方をご紹介してきました。

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子どもへの言葉がけや接し方ももちろん大切ですが,必要以上にイライラしないために,日ごろから親が気持ちに余裕を持つようにしましょう。仕事に励んだり,ときには趣味にいそしんだり,ぜひあなたの時間を充実させてください。「子どもが小さいから,親がずっとそばにいないとかわいそう」「子どもを差し置いて,仕事や趣味に励むのは気が引ける」――。このようにお考えのお父さん,お母さんもいらっしゃるかもしれません。しかし,あなたの時間を充実させることには,次のような利点があります。

(1) リフレッシュできる

一時的に子育てから離れて,仕事や趣味に打ち込むと,リフレッシュすることができ,新たな気持ちで子どもと接することができます。「悪いところばかりに目がいっていたけど,子どもなりにここはがんばっているな」「なんであんなことでイライラしていたんだろう」と思えるかもしれません。

(2) 広い視野から子育てについて考えられる

仕事や趣味を通して,様々な人と出会います。「将来,子どもにはこんな大人になってほしいな」「逆にこんな大人にはなってほしくないな」と,子育てについて考えるきっかけになるでしょう。ずっと子どものそばにいると,目の前の小さな変化に一喜一憂しやすくなるかもしれませんが,仕事や趣味にも取り組むことで,広い視野から子育てについて考えられるようになるのです。

「学歴があっても,自分のやりたい仕事に就いていなければ,幸せな人生を歩めないのかもしれないな」「子どもの好きなこと,やりたいことって何だろう?勉強だけさせるのはよくないな」――。このように,子どもに将来どうなってほしいのか,そのためにはどのような子育てをするのがよいのか,親自身が考える機会になるはずです。

(3) 子どもの自律を促すことができる

親が仕事や趣味に打ち込んでいる間,子どもはいろいろなことを任されることになります。親が手を離し,子どもに身の回りのことを任せていくことは,子どもの自律につながります。お父さん,お母さんともに仕事で忙しい家庭の子どもは,一人で身の回りのことができ,しっかりしていることが多いですが、これはこのような事情が関係しているのではないかと思います。

また,子どもは親の背中を見て育ちます。仕事や趣味に打ち込み,生き生きとしている親を見て,「目標を持って努力する姿勢ってかっこいいな!」「自分のやりたいことはなんだろう?」「自分も将来,お父さんやお母さんみたいになりたい!」と感じてもらえることでしょう。子どもをガミガミ叱る代わりに,ぜひ親の背中でお手本を示しましょう

育児は365日お休みがないので本当に大変です。長期戦ですので,気をラクに持って,適度に息抜きをしながら子育てをすることは,決して悪いことではないと私は思います。その方が必要以上に叱ったり,叱られたりする場面が減り,親子ともどもストレスなく生活を送れるからです。適度に息抜きをしながら,子どもと関わることで,きっとよりよい関係性が築けるでしょう。

子どもをやる気にする言葉がけ⑪~失敗を次に生かす言葉がけをする

「こんな成績を取って!」「また同じ問題を間違えたの?」と頭ごなしに子どもを叱っていないでしょうか。声を荒げてこのような言葉がけをすると,子どもは「怒られて怖い!」と思考停止状態に陥ってしまいます。

起こってしまったことはもう変えることができません。悪い成績を取ったこと,同じ問題を間違えたことを責めても,その事実を変えることはできないのです。それなのに感情に任せてつい頭ごなしに叱ってしまうと,「間違えたらまた怒られる」「勉強なんて嫌い」と,子どもに恐怖心や嫌悪感を植えつけてしまいます。間違えたり,失敗したりすることを避けようとするため,新しいことや難しいことに挑戦できなくなってしまいます

具体例をご紹介しましょう。中学一年生のAさんは,幼いころから「こんな成績を取って!」「また同じ問題を間違えたの?」と頭ごなしに叱られてきました。Aさんは次第に親と勉強の話をするのを避けるようになりました。親がノートやテストを見るのを嫌がり,隠すようになりました。「子どもの答案を見たくても見せてくれない」「成績がよいか悪いかもわからない」「勉強について話し合いたくても話し合えない」「これからどんどん勉強が本格化するのにどうしよう」とAさんの親は悩み,私のもとに相談に訪れました。

Aさんの授業を担当したところ,私は様々なことに気づきました。Aさんは自分の書いた答えを左手で隠しながら問題を解いていること,答えをすぐに消せるように常に消しゴムを握りしめていること,わからない問題に取り組もうとすると思考が停止してしまい,解説しても上の空であること――。これらは間違えることやできないことに対する恐怖心により,引き起こされているのだと私は感じました。

このままでは,Aさんは自分ができる範囲内の簡単な問題にしか取り組むことができません。難しい問題に挑戦したり,筋道立てて考えたりすることができないため,伸び悩んでしまいます。まずは間違えることやできないことに対する恐怖心を取り除く必要があると私は考えました。

そこでこのような状況についてAさんの親に説明し,「こんな成績を取って!」「また同じ問題を間違えたの?」という言葉がけをやめてもらいました。ご家庭ではどうしても悪い部分が目についてしまうとのことだったので,毎授業後に私から保護者の方に,「計算問題は速く解けるようになりました」「今日は一時間集中して取り組めました」などAさんが成長した点についてお伝えし,Aさんをほめてもらうようにしました。

このような取り組みを始めて半年ほどで,Aさんの親は子どものよい部分や努力した点に自然と気づくようになりました。Aさんも,間違えることに対する恐怖心がなくなり,「この問題はここまでわかるんだけどな」「こうやって解くんじゃないかな」と難しい問題にチャンレジしたり,筋道立てて考えたりすることができるようになりました。

今ではご家庭で,Aさんも交えて勉強に関する話もできるようになりました。たとえAさんが悪い成績を持ち帰ってきたとしても,Aさんの親は「弱点がわかってよかったね」「間違えることは悪いことじゃないよ」「同じ間違いを繰り返さないことが大事だね」と声かけします。Aさんの親は「悪い成績を取ったり,失敗したりすること自体は悪くない」「失敗を経験して次に生かすことこそ重要だ」と考えるようになったため,「こんな成績を取って!」「また同じ問題を間違えたの?」と頭ごなしにAさんを叱らなくなりました。

「こんな成績を取って!」「また同じ問題を間違えたの?」と頭ごなしを叱っても,子どものやる気を引き出すことはできません。「その部分はがんばったんだね」と努力を認め,「今回はこんな結果だったけど、弱点がわかってよかったね」「間違えることは悪いことじゃないよ」「同じ間違いを繰り返さないことが大事だね」と失敗を次に生かすことの重要性を伝えましょう。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ⑩~叱らなくて済む方法を考える

子どもとよい関係を築き,やる気を引き出すためには,親が叱る回数をなるべく減らすことが大切です。親が日常的に声かけしていると,「またガミガミ言ってる」「うるさいな」と子どもは感じるようになります。肝心な場面でも,子どもがアドバイスを聞いてくれなくなる可能性もあります。

子どもが悪いことをしているから叱る,声かけをするということは,確かに必要です。しかし,同じことを伝える場合でも,言葉の選び方や声かけのタイミング,伝え方によって,子どもに与える影響は変わります。せっかくなら,子ども自身で「自分が悪かったな」「次からこうしよう!」と気づいて反省したり,次に生かしたりできるように導けると,理想的ではないでしょうか。

周囲が口うるさく声かけしなくても,子ども自身で気づき,考えて行動できるように導くには,どうすればいいのでしょうか。具体例をもとに考えてみましょう。

 

(例)子どもがゲームばかりしていて勉強しない

→「勉強しなさい!」とガミガミ言わないためには?

・「ゲームは一日一時間まで」「勉強が終わってからゲームをする」など,ゲームに関するルールを家族内で決めておく。

・ゲーム終了時刻にアラームをかけておく。

 

(例)子どもがグズグズして、毎朝の支度を時間通りにできない

→「早くしなさい!」とガミガミ言わないためには?

・「8時30分に幼稚園のバスが来るからね。8時20分にお家を出よう!」と見通しをあらかじめ伝えておく。

・バスに乗り遅れるとどうなるかを想像してもらう。時間を守ることの重要性について時間を取って話す。

・一日のスケジュールや時間の過ごし方について理解してもらう。「7時30分に起きる」「その後,歯磨きをする」「朝ごはんは何時ごろまでかかるかな?」など,スケジュールについて,子どもと話し合いながら確認する。

 

「ゲームをやめなさい!」「それはやっちゃダメ!」「勉強しなさい!」「早くしなさい!」と何かを禁止したり,次に取るべき行動を指示したりするのではなく,子どもとじっくり話し合って,問題を根本から解決することが大切です。

問題が根本から解決されていないと,子どもは同じ問題行動を繰り返してしまいます。そうすると,親がまた叱らなければいけません。叱る回数が増えると,子どもにもストレスがかかり,また問題行動を起こしやすくなります。

このような悪循環に陥らないためにも,「どうすれば叱らなくて済むかな?」「なぜ問題行動を起こしてしまうのかな?」「どうすれば問題行動が収まるかな?」と原因や対策について考え,問題を根本から解決することが大切なのです。

問題の解決策はたくさんあります。一つの方法で上手くいかないときは,ぜひ別の方法を試してみてください。問題行動が引き起こされる原因もさまざまです。たまたまその時期に子どもにストレスがかかっていた,生活リズムが乱れていた,お友だちと揉め事があったなど,一つ一つの出来事は小さいことでも,いくつもの要素が重なり合って、問題行動が引き起こされているかもしれません。

「なんでこんなことするの!」「~しなさい!」「やめなさい!」「本当にダメな子ね」と叱る代わりに,ぜひ叱らなくていい方法を考えましょう。子どもを責めるのではなく,次から叱らなくても済むように,問題行動を止められるような声かけや仕組みを考えることが大切です。

 

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子育て疲れがラクになる 心の持ち方

子を想うからこそ怒ってしまう

つい子どもを怒ってしまうお母さん,お父さんは,子どものことを強く想っています。「がんばればもっとできるのに」「このままではもったいない」「この子は将来どうなってしまうんだろう」「自分一人で食べていけるのかな」――。子どもの人生や将来のことを考えるからこそ,「このままじゃいけない!」と怒ってしまうのでしょう。

子どものためを想って言っているのに,子どもが聞く耳を持ってくれなかったり,事態がよくなるどころか親子の関係性が悪化したりすると,「自分はなんてダメな親なんだろう」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。自分ばかりが子どものことを想い,空回りしていて,心が苦しいという方も多いでしょう。今回は気持ちがラクになる心の持ち方についてお伝えします。

(1) 完璧主義を捨てる

「子どものためを想うと,これもやった方がいいのかな」「もっとこうしてあげないと」「この子のために,できることは全部やってあげたい!」と,完璧なお父さん,お母さんを目指すと疲れてしまいます。気負いすぎると,そのぶん,「なんでうまくいかないの⁉」と怒りの感情も生まれやすくなるでしょう。

子どもと親は別の人間なので,親の思い通りにいかないことも多々あります。大人から見て簡単なことでも,人生経験が浅い子どもにとっては難しかったり,理解できなかったりすることもあります。

うまくいかないことがあっても,「そっか,そういうこともあるよね!」と,ありのままをいったん受け止めると,気持ちがラクになります。

(2) ときには子どもと離れることも大切

「子どものために,あれもやってあげなきゃ」「子どもを一人にするなんてかわいそう」「まだまだ私がサポートしてあげないと」と,子どものことを強く想うがあまり,ずっとそばにいると,欠点が目についてイライラしやすくなったり,気持ちに余裕がなくなったりします。

親がいつでも子どもと一緒にいて,手助けしてあげるのがよいとは限りません。子どもが大きくなるにつれて,一人で取り組まなければいけないことが増えてくるためです。「今日はお留守番にチャレンジしてみる⁉」「いつも一緒にやっているお片付け,一人でやってみようか」「宿題を一人でやってみよう!できたら見せてくれるかな?」――。親が手を離すことに罪悪感を抱かず,子どもを信じて,色々なことを任せていきましょう

(3) 間違いに気づいたら素直に謝る

「あのときの対応は間違えていたな」「子どもを傷つけてしまったな」と思ったら,子どもに素直に伝えましょう。

必要以上に自分を責めたり,親らしくありたいという気持ちから,謝ることがためらわれたりするかもしれません。しかし,「ごめんね、あの言葉がけはよくなかったね」「あなたのためを想って言ったんだけど,嫌な言い方だったよね」と,親の気持ちを素直に伝えることで,子どもも「こんなにも自分のことを想ってくれているんだ!」と気づくことができます

「これくらい伝わっているだろう」「口に出さなくても,わかってくれているだろう」ということでも,言葉にして伝えることで,より強い信頼関係を築くことができます。「しまった!よくない言葉がけをしてしまった!」と思ったときこそ,子どもと信頼関係を築くチャンスなので,ぜひ前向きに捉えましょう。

育児は365日お休みがないので,本当に大変ですが,このような心持ちで取り組んでいただけると,少し気持ちがラクになるかもしれません。

 

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子どもをやる気にする言葉がけ⑨~努力した部分をほめる

「まだここもできていない……」「またこんな悪いことをして!」「厳しく声かけしないと!」と子どもの悪い点,不足している点が気になり,つい叱ってばかりになってしまうお父さん,お母さんも多いと思います。しかし,叱るのと同じくらい,よい点やがんばっている点をほめることも大切です。叱る声かけとほめる声かけが,割合として半分ずつくらいになるように心がけましょう。

叱られてばかりだと,誰しもやる気が出にくいものです。「前よりここがよくなったね!」「最近,この部分はがんばってるよね!」と周りから認めてもらえると,それが励みになって,「ちゃんと見ていてくれるんだ!」「もうちょっとがんばってみよう」と,さらに努力することができます。

「うちの子は、本当に悪いところばかりなんです」「ほめるところなんてないんです」とお思いの保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし,その子の中で成長している点は必ずあるはずです。周りと比べるのではなく,過去の子ども自身と比べて,よくなっている点やがんばっている点をぜひほめるようにしてください

具体例をご紹介しましょう。小学一年生のAくんは文字の読み書きが苦手で,ひらがなを書くのも一苦労していました。それでもAくんはがんばって学校の宿題や作文に取り組んでいました。

しかし,Aくんのお母さんは,「汚い字ね!もうちょっと何とかならないの」「こんな字,読めないわよ。書き直しなさい!」と厳しく声かけしました。「こんなのがんばっているうちに入らないわ」「周りの子はもっと上手にすらすらと字を書けるのに……」「もっとがんばってもらわないと!」と考えていたためです。Aくんの不足している点,まだできていない点ばかりが気になり,努力している点や,前よりできるようになった点を認めることが難しかったのです。

しばらくすると,Aくんは文字を書くことを避けるようになりました。「ぼく,作文なんて大っ嫌い!」「ぜったいやらないから!」と強い口調で拒絶するようになってしまいました。

悩んだAくんのお母さんは,私のもとに相談に訪れました。私は簡単な作文プリントを用意して,何とかAくんに取り組んでもらうところから始めました。そして,できるようになった点を積極的にほめるようにしました。

「字をすらすら書けるようになったね。前回より速く書けているよ。この調子!」

「前は『嫌だ!』って言ってたのに、今日は自分からプリントに取り組んでくれたね。ありがとう!」

「今日はカタカナを使えたね。とてもいいね!」

「前より字が上手になったね!ほら,プリントを見比べてみるとよくわかるよ。この前のプリントより,今日のプリントの方が,きれいに字が書けているね。最近本当によくがんばっているからね!」

このような声かけを継続したところ,Aくんは少しずつ自信を取り戻したようでした。「今日もプリントがんばってみようかな!」「見て!今日は漢字も使ってみたんだ!」と,自ら進んで学習に取り組むようになりました。

このように,よくなった点やがんばった点をほめると,子どもの努力する姿勢を引き出すことができます。大人が期待している水準にまだ達していなくても,プロセスや姿勢を認めることが大切です。コツコツ粘り強く取り組むことができれば,たとえ時間はかかっても,一つ一つ壁を乗り越え,やがて努力が実を結ぶでしょう。

 

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子どもが問題行動を起こす原因を知る③~やめたくてもやめられないから

お母さん,お父さんに叱られたい子どもはいません。皆,ほめてほしい,認めてもらいたいと願っています。それなに,なぜ子どもは問題行動を起こしてしまうのでしょうか。

以前述べた通り,子ども自身で問題行動だとわかっていない場合もありますが,わかっていてもやめられないこともあります。

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問題行動を起こすのには原因がある

たとえば,集中しなければいけないのに,他のことが気になって,やるべきことに取り組めないという子どもは少なくありません。「集中しなきゃ!」「これをやらないと」とわかってはいるものの,自分をうまくコントロールできす,どうしても集中できないのです。子ども自身も「何とかしたい!」と心の底では思っているのですが,改善の方法がわからないので,つい同じことを繰り返してしまいます。

子どもが集中できないのには,何か原因があるはずです。もしかすると机の上が散らかっていて,ほかのものに目が行きやすいのかもしれません。兄弟がはしゃいでいて気になってしまうのかもしれません。睡眠不足でやる気が起きないからかもしれません。取り組んでいる課題が子どもにとっては難しすぎて,なかなか進められず、ほかの楽しそうなことに目移りしてしまうこともあるでしょう。

子どもと一緒に対策を立てることが大切

子どもの問題行動の原因を親が探り,ぜひ改善の手助けをしましょう。子どもも「何とかしたい!」「叱られたくない!」と思っているはずなので,「どうやったらよくなるかな?」「なぜこんなことをしてしまうかな?」と一緒に対策を立ててみてください。

「これをやればよくなるんだ!」「叱られなくてすむ!」「お父さん,お母さんを喜ばせたい!」と,問題行動を解決する第一歩を踏み出せるでしょう。

 

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